かすみ荘 - 雑文:ハイオク満タン
[もどりゅ]

046. 【ハイオク満タン】 (2001.04.02)



・自転車で流すのに良い季節になった。モアちゃん号ことアンゴルモア号に乗ってあちこちに出現したりしている。モアちゃん号も嬉しそうに見えない事も無い。モアちゃん号は無機物なので、何とも言えないが、見えるような気がすると気分がいいので見える事にする。

・モアちゃん号は自転車なので、乗る人によってパワーが変わる。かすみが乗れば1かすみ力で、平坦な道で時速20キロ程度。全然遅いという話もある。カートですら30キロは出るだろうに、でもまあいい。一生懸命漕げば速度も上がるが、こっちの息も上がってしまう。

・昔、自転車は全然エコロな乗り物では無いといっていた同僚がいた。彼に言わせると、彼の4WDビックホーンの方がエコロで省エネだという主張だったりする。自転車に乗ると5キロも走れば給水しなくてはいけない。エンジンは味覚を持つ人間なので、ついついジュースを飲んでしまう。が、缶ジュース一本よりもガソリン1リットルの方が安い。乗車人数も1対6(8とか10でもいけると主張)と違うし、第一車両税、ガソリン税(といっても彼のはディーゼルエンジンなのでちゃちい税金になっている)などの税金を払っており、そのお金がエコロジー対策にまわっているのだ、という様なげしょげしょのへ理屈だった。

・ともあれ、モアちゃん号はガソリンも軽油もいらない人力カーなので、ガソリンスタンドにも縁が無い。が、一度でいいからやってみたい事があったので、ついでにやってみる事にした。手ごろな入れ物がなかったので、昨年そばつゆを入れたお洒落な麦茶入れをリュックに入れた。昨年、母がこの容器にそばつゆを入れた為、父が麦茶と勘違いし飲み、マーライオンの様に台所で吹き出すという事件を引き起こした経歴を持つそばつゆ入れである。この様な忌まわしい経歴を持つ容器は今度のプロジェクトにふさわしいのではないか。

・リュックを背負い、モアちゃん号にまたがる。ペダルを真下に漕いだ時、足がぴんと伸びる様に調節してあるので、速やかに漕ぎ出した。そのまま港北ニュータウン(でも港北区ではなく都築区)に進路を取り、まぁ、ここなら入らないであろうガソリンスタンドにつーっと入った。もし入ったとしても免許の無いかすみの事を発見するものはいないと思うが。いらっしゃいませーと出てくるお兄さんに、そばつゆ入れを出して微笑むかすみ。

「ハイオク満タンでお願いします」

・お兄さんは困っていた様だ。後ろからちょっと年かさの男性が出て来た。店長やも知れぬ。もう一度微笑んで言葉を繰り返した。

「エンストでもされたんですか?」

「いえ、プレゼントなんです」

「容器はございますか?」

「これに入れて下さい」

「はぁ・・・。漏れてしまいますよ」

「大丈夫です」

・びみょーな沈黙ののち、店長と思しき男性は缶に入ったガソリンを出して来た。

「これに入れて欲しいんです」

「それでは危ないのでお売り出来ないのです」

「だいじょぶです。原料はポリタンクと同じ入れ物ですから」

「そうもいきません。こちらの缶のものをお買い上げ下さい」

・これ以上もめても仕方が無いので、缶入りガソリンを購入してスタンドを後にした。もちろん、免許証すら持たないかすみが缶からタンクにガソリンを入れ替えられる筈も無く、ガソリンは寂しく部屋に佇んでいる。とりあえず友人の誕生日にでも上げればこれの片は付きそうだが、この難儀なそばつゆ入れをどの様に再活用しようかと考えている。

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