かすみ荘 - 雑文:風呂桶を磨く
[もどりゅ]

052. 【風呂桶を磨く】 (2001.04.09)



・子供の頃、お風呂に入っていてふと気が付いた事がある。お風呂というのは色々な事に気が付くのに絶好の場所の様だ。この時のかすみも古きに則ってエウレカとか叫んで飛び出しても良かったのだけれど、家族6人の前で露出狂の如く立ち振る舞うのはいささかの抵抗があったらしく、そのまま問題の物を持って入浴を終了した。

・さて、件の物品であるが、ただの風呂桶である。ピンク色の風呂桶の表面が、うっすら灰色になっている。この正体が気になっていたのだが、その日は爪の先で擦ると、その灰色が剥がれるという事に気が付いたのだった。ちょっとした力では剥がれず、かなりの力が加わって始めて剥がれるのである。つまり汚れ、なのだ。

がーん・・・。

・きったねぇ!と感じた子供かすみなのであるが、子供かすみは育ちが変にひねこびていた為、また、言葉づかいは丁寧にと日々指導されていた為、きったなぁい、と思ったのである。ああ、ややこしい。それは置いておいて、かすみが風呂桶を持って母に抗議しに行くと、この汚れは湯垢であり、人体に影響は無く、気になるならかすみが奇麗にすればいいのだ、などとのたまって、くまさん印のスチールウールを一個くれた。

ごしごしごしごしごしごし。

・軽く擦るだけで面白いくらいに灰色の汚れが粉になって落ちて行く。素晴らしい、素晴らしいぞ、スチールウール。鉄も燃えるよ実験以来の大活躍だ。しかも、鉄も燃えるよ実験の時は、実験をやってくれた父ともどもおばあちゃんにめちゃめちゃ怒られた(火事になる!との事)のに、今回は誉められる立場なのである。

ごしごしごしごしごしごし。

・風呂桶が全面的にピンク色になった時、風呂桶の底には大量の湯垢の粉が溜まっていた。なるほど、固形より粉末の方が体積が増えるのだな、などと父との楽しい科学で学んだ事を思い出しつつ、この粉末が何かに再利用出来ないかと考え始めるかすみ。止まれ、どう考えても湯垢の粉末など利用価値が無いのであり、再利用も何も、もともと自然に付着した垢なのでその言葉自体間違っているのである。とはいえ子供の考えであるし、何分過去の事であるから仕方が無い。

・嫌な同級生の給食に混入する、というのは人知れず溜飲が下がり楽しそうだが犯罪であろうし、パラフィン紙に包んでお医者さんごっこをするのに利用する、というのは間違えて嚥下してしまう人がいるかも知れない。うーみゅ。

・考えに考えた結果、ベランダから撒いてみる事にした。ポチから臼になり、臼から灰になったその灰は、枯れ木に花を咲かせたではないか。家の庭の梅の木に撒けば花が咲くかも知れない。まあ、実際の所咲きはしないだろうが、花咲かじいさんごっこのつもりでぶんぶん撒いた。もちろん花は咲かなかった。もし咲いたとしたらそれだけで大事であろう。

・その後、暇な時に桶を磨いていたのであるが、湯垢なんてそうそうぽんぽん溜まるものでは無いので、溜まるとそれはもう大事に大事に擦ったものである。これが高じて、毎日耳掃除する様になってしまったのだけど。という訳で現在大変困っている。耳を母親に見てもらったのだが全く奇麗さっぱりしているそうで、最近殆ど耳掃除のし甲斐が無く哀しんでいる上に、風呂桶もさっぱりピカピカにしてしまい、どちらもやりたくてもやれないのである。ああ、誰でもいいからかすみに耳掃除させてくれないかなぁ。竹の耳掻きとみみねんぼーとメンソレータム持参で掘りに行くのだけれど・・・。ちなみに飼っているわんこ二匹と母の耳はぴかぴかー。

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