かすみ荘 - 雑文:山下公園にて
[もどりゅ]

066. 【山下公園にて】 (2001.05.25)



・もらって嬉しくないプレゼントっていうと、やっぱりあれかなぁ、と思ったので、友人の結婚祝を中華街に買いに行った。目的の物を購入し、お茶をしようと重慶飯店の別館に向かったが、やたらと待ち人が多く、こちとら1人のぷらり旅なので山下公園でお茶をする事にした。もちろんお茶といっても喫茶店に入る訳でもなく、缶のジュースとポップコーンを購入しベンチでぼけっとする事なのだけども。

・天気も良かったので、ちょっと休んだら丘登りでもして港の見える丘公園経由、えのき亭or喜久屋でお茶(やたら水分を取るのが好きだ)して帰るかね、とばかでかい包みを傍らに和んでいると、隣のベンチにカップルが座った。スーツの男性と、可愛いカジュアルファッションの女性。楽しいね、とか、人がたくさんいたね、とかいう会話を交わしている。

・かすみが購入したポップコーンを景気良く鳩に振る舞っているのを見て、「私も上げようかなぁ」という彼女。「じゃあ買ってきてあげる」という彼。ベンチから売店は見えない。彼女は大きく伸びをして、足をぶんぶん振る。「お待たせ」「おそーい。寂しかったぁ」この2人にとって、隣のベンチのかすみは、ベンチの付属品の怪奇、豆まき女くらいの扱いかも知れない。全く気にする事もなく、ラヴラヴ会話を展開している。いいけど。

・すると、1人の少女がやって来た。彼女に小さくて奇麗にラッピングされた包みを差し出す。「お姉ちゃん、これ、プレゼント」地元の子供なのか、かなり可愛いその少女はにっこりを微笑み、包みを渡すと走っていった。彼女が恐る恐る包みを開けると・・・。「わぁっ」

ぼひゅ!

・別に包みが爆発したのではない。かすみが口に含んでいたお茶を吹いてしまった音である。幸い、吹く瞬間、それを察知出来たので誰もいない斜め後方に向かって吹く事に成功した。

・小さな包みの中身は指輪であり、あの少女はどうやったかは知らないが彼のしこみであり、ロマンティックなプロポーズの演出だったのであった。「どうしよっかな」「駄目かな」「くすっ、いいよ」「ほんと、ありがとう。俺、一生懸命働くよ」「うん。ね、お茶飲みに行かない?ゆっくりお話しよう」この会話が展開されている間、こんなシチェーションを創作されたもの以外で本当にあったとは、と笑いを堪えつつ、下を向いているのはとても辛ろうございました。幸せな2人は、隣のベンチでお茶を吹いている他人の事などまったく目に入らなかった様で、そのまま手をつないで去って行くのです。

・かつて、危ない刑事が走っていた山下公園。繋留された氷川丸で結婚式も挙げられる山下公園。時にはキリスト教徒を装った外国の人が、うすったいパンフレットと引き換えに、千円以上の寄付をねだる山下公園。大道芸人さんがうろつく山下公園。そんな山下公園にはロマンティック(但し、当事者のみ)なカップルが現れるという。夜になれば、おいたする少年達も出るという。

・ええ、ええ、良いものを見せていただきました。2人が立ち去った後、2人の幸せを祈るどころではなく、大笑いしましたけど。

・あ、関係ないけれど、結婚祝はやたらでかい中国人の顔のお面です。すっぽりかぶるやつ。もちろん、嫌がられました。

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