かすみ荘 - 雑文:コロッケパン幻想
[もどりゅ]

069. 【コロッケパン幻想】 (2001.05.30)



・コロッケパン、高校時代にはころぱんと呼んでいた代物である。やきそばパンをやきパンとは言わないのに、コロッケパンはころぱん。ころぱんがちょっと可愛らしい音だからか、ころぱん。

・その店は桜木町にある。桜木町の野毛近道の一角に、本当にこじんまりという形容詞の良く似合うコロッケ屋がある。野毛近道、というが野毛というのは野毛地区の事であり、一部地域で有名な野毛山動物園もここにある。しかしながら、坂を登ったその先に象まで見れる動物園がある事を知っている人は以外にも少ない。もちろん一部には有名なので、いつもなーんとなく人がいる。入場料無料であるので、近くに寄った際に御用とお急ぎでない方は象を見に寄るのも一興である。

・毎回通る度に、コロッケ屋を覗いているのだけれど、初老のおじさんが1人でお店を切り盛りしている。と、いうか、調理場には1人以上入れない。それ以外に小さな丸いテーブルがひとつ。椅子が3脚。その度に次に来た時買うぞ、次に来た時に買う、と念仏の様につぶやいていたのである。

・かすみの経験からすると、このコロッケ屋は美味しい筈なのだ。なぜならメニューがコロッケ、しかもじゃがいもコロッケだけだから。某馬場登氏の11匹のねことあほうどりの中にも、11匹の猫がコロッケ屋さんを開いた際、じゃがいもコロッケのみで勝負していたから、やはり一種類でもコロッケ屋は問題ないかと。

・このコロッケ屋さん、名をハクライ屋という。ハクライというのは舶来の事であり、海の向こうからやって来たという事で、港町横浜に相応しい名前ではないだろうか、コロッケ屋であっても。しかも、店頭というほども大きくない、それでも名詞としては店頭と称する店の間口の所に、瀬戸物で出来た等身大のダルメシアンの置物まで置いている。この置物、ペットショップや雑貨店で見る事が出来るのだが、付いているお値段がかなりお高い。こんなちょっと持ち上げて手を放せば粉々になってしまう置物如き、しかも置いてあるだけでわんと鳴く訳でもない瀬戸物なのに高価なのである。恐らく、この等身大のダルメシアン、万単位の代物であろう。いったいおじさんはいかにしてこのダルメシアンを購入したのか、それともおじさんのコロッケファンに買ってもらったのだろうか。だとするとコロッケ、しかも一種類でダルメシアンの置物を置けちゃうくらいの店なのだ。うーみゅ、侮れない。

・さらに、ダルメシアンは電光掲示板に寄り添っている。この掲示板も文字が変わる上、結構な大きさの物なので、浅草はかっぱ橋商店街で購入すればやはり万単位ではないかと思われる。コロッケだけで電光掲示板。それくらいの収入、もしくはファンがいるらしい店なのだ。それくらい美味しいに違いないコロッケ。買わねば、食べねば。

・そんなこんなでついに購入に至りました。おりしも日本ダービーの日に。別に日本ダービーは関係ないよね、コウタロー。ちょうどお腹もぐーぐー鳴っているし、レディーとしてお腹を鳴らしたままにしておく訳にはいかない。補給をせねばなるまいまい。

・コロッケは一個100円、コロッケパンは一個200円。ここはやはりころぱんをいただくべきであろう。前に三人いるのですぐに順番が廻って来るだろ、などと思ったのは甘かった。ここは激うまコロッケ店(この時点でではないかと予想)なのだ。さくさくと列が進むなどという事は無いのだ。第一先頭の客は5個も買っているのだ。しかも、おじさんの仕事は異様に遅い。かすみのアンミラウェイトレス時代であれば、子供を含む4人のお客様がお帰りになり、バッシングをしてセッティングをして、新しいお客様を招き入れた上、コーヒーまで落とせちゃうくらいの時間をかけて、一つのころぱんを作っているのだ(例えが例えになっていない)。ともかく1ころぱんスピードはかなりの時間を要している。その為、かすみの後ろに並んだ兄ちゃんずがころぱんを諦めたくらいである。兄ちゃんの内1人は、ここまで待ったんだし、勿体無いと言っていたが、も1人の兄ちゃんはもう駄目だ、間に合わない(恐らく馬券の投票時間であろう)と、ころぱん兄ちゃんを引きずって行ってしまったのだ。残念だったね。

・おじさんは先ず、コッペパンを割って、トースターに入れる。このトースターは2台あって、各2個のコッペパンを焼ける。そのコッペパンを広げて、ちょびっとの千切りキャベツを載せる。千切りというより500切りくらいの幅ではあるのだけれど。そこにソースをかける。ソースは入れ物に入っているのでメーカーは不明、食べて見てウスターみたいにさらさらではあるが、味が違うと思った。そこにコロッケを載せてまたソース。パンで挟んで肉まんを一個入れるような紙袋に入れまたソース。これを税込み200円にて購入。

・最終的にね、食べて見て判断した結果、兄ちゃん、あんた食べるべきだったよ。トーストしたコッペパンは適度にかりかり、ソースは甘くも無く辛くも無く、コロッケも良い感じにジャガイモの食感を残してあったか。海原kasumi雄三はころぱんを食べながら、帰路に着いた。ダービーは負けた。でもこうゆうのを勝負には負けたけれど、別に勝利を収めた事になるんじゃないかなぁと思っている。

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