かすみ荘 - 雑文:パンダは忘れた頃に
[もどりゅ]

073. 【パンダは忘れた頃に】 (2001.06.07)



◇久々に残業(滅多にしない。というか自分の通常仕事レベルで残業をするのは仕事が出来ない証拠の様な気がする)をして家に帰ると、玄関に箱が転がっていた。かつお節削り器を二周りほど大きくしたものである。なにやら横っ腹に?Panda?と書いてある。

◇Panda、そのまま読めばぱんだであろう。いったい何がどうして玄関に?Panda?なる箱が転がっているのであろうか。?Panda?推進委員会でもやってきたのであろうか。

「こんにちわ奥様、私達は全日本パンダ推進委員会、略して全パン推の者なんですけれど、お宅にはパンダはありますか?」

「は?」

「あ、ご存知ないのでしょうか。それは困りましたね。この度、WWWAで検討した結果、一家庭に一パンダを導入せよという事なんですよ。でも、パンダは白黒で可愛い感じにみえますでしょ」

「はぁ」

「でも、熊なんですよ。ですからね、人も襲うし鈎爪もあるんです。ちょーっと飼えませんよねぇ」

「そうですね」

「ですからこちら、お手軽パンダセットを備え付けていただければ良いのです」

◇うーみゅ、まったくもって有り得ない話である。一家に一本消化器を、使用期限にご注意、などといったポスターを近所の消防署で見たけれど、パンダはいらんだろ、パンダは。それにそんな訳の分からないトークごときで我が家のママ上が陥落する筈も無い。今の住所に居を構えて30余年、毎日新聞と神奈川新聞を購読し続け、その他の新聞勧誘員を退け続けたママ上が?Panda?なぞを押付けられる筈も無いのだ。

◇ともあれ、そんな事よりこちとらお腹が空いているのだ、空腹なのだ。?Panda?なぞほかしておいて、ご飯を食べねばならない。今日のおかずは桜えびのかき揚げと、桜えびと三つ葉のかき揚げだ。ちょっと手抜きですね、ママ上。

「かすみちゃん、玄関に?Panda?が届いていたでしょう」

「んー」

「あれ、何?」

◇何ぃ??Panda?はあちき宛てだったのか?おそるべしWWWA。未婚の20代女性はすべからく?Panda?を持つべし。

◇ママ上が中身を見たがったので、玄関で箱を回収した。もしかすると大き目のかつお節削り器かも、という淡い期待を持って、わくわくしているママ上の視線を浴びつつ箱を開封した。

「あ、これか。うわー忘れていた」

◇?Panda?の中身は?Yonda?の?Panda?であった。昨年まで行われていた新潮文庫販売促進キャンペーンで、文庫本を30冊読むともらえるパンダ人形だったのである。かすみは持っていた文庫本と新たに読んだ文庫本のマークを集め、手始めに30冊のトートバッグと、10冊のストラップ2本を手に入れていたのだが、大物のパンダ人形がまだ届いていなかったのだった。

◇どうやら今回のお届ものにWWWAは関与していなかった様である。もしもWWWAが関与していたのであれば、最低最悪の可能性、トラコンのラブリーエンゼルが派遣され、地球破壊という事もありえた様であるがそれはまた別の機会に持ち越されたらしい。

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WWWAをご存知無い方へ

WWWAは宇宙におけるトラブル解消を目的とした民間企業の略称です。トラブルが生じると、データから割り出されたトラブルコンサルタント、通称トラコンが派遣され、トラブル解消の任務にあたります。トラコンのコードネームは各トラコンに割り振られた宇宙船の船名と同一になります。ラブリーエンゼルは中型宇宙巡洋艦ですが、火力は大型に匹敵し、可愛いピンク色のおふねです。しかしながら、それに搭乗しているトラコンは、過去の実績からこう呼ばれています。ダーティーペア、と。

詳しくは高千穂遙著。早川文庫のダーティーペアシリーズをお読み下さい。

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