かすみ荘 - 雑文:宗教は2度、チャイムを鳴らす
[もどりゅ]

074. 【宗教は2度、チャイムを鳴らす】 (2001.06.07)



◇うららかな土曜日の昼前。我が町内を騒がすのは、竿竹屋とそれにつられて吠える我が家の剛太、廃品回収とそれにつられて吠える我が家の剛太、ごみ収集車とそれにつられて吠える我が家の剛太、くらいなもであった。に、しても剛太君よ、吠えすぎではないかえ。

◇家人は各々デートやら、ショッピングやら、何やら謎の集まりやら、に出かけており、家にはあちきとわんこ二匹が残り留守番をさせられていた。別にあちきがでかけるあての無い孤独な女だという事は無いのだが、いかんせん外の世界は誘惑が多く、結局何をどうしたいのかわからない様な買い物をして、最終的に無駄遣いという結果になってしまうので、手持ちの現金も少なかったしこれはおとなしくしていやがれ、というガイア神のお達しであろうと考え、膝小僧を抱えてお絵描きしていたのである。

◇さて、我が愛機はハイパースペックマッシーンの様である。なぜ様である、と書くのかというと、あちきにはどうハイパーなのかわからないからだ。製作者の弁を借りれば、あちきの愛読書?デジタル美少女?の筆者よりすごいのである。某少年サンデーのオールデータ作成漫画家のマシンよりも上らしいのである。少なくとも漫画家のマシンは256メガであるが、あちきのマシンは512メガ、単純に倍なので、倍強いのであろう。つまり、ここでパソコンのロボット相撲があれば、あちきのマシンが勝つのだ。どうやってパソコン本体が相撲を取るのかは別の話であるが。

◇で、そのハイパースペックマシンでお絵描きをしていたのである。ヒストリーを飛ばしてしまったり、完成データをちゃんと保存していなかったり、まあ、色々と苦渋をなめさせられたおかげで何とかまあ、人0.3倍くらいのフォトショップ使いになったのではないかと自認しているのだけれど、お絵描きの背景処理として(ああちきにとっては)面倒くさいクロムフィルタの加工をしていた時である、

?ぴんぽーーーーん?

?わんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわん?

?わんわんわんわんわんわんわんわんわんわんわん?

◇割れんばかりのわんこの吠え声が耳朶を打った。こんな土曜日の昼日中にやって来るのは誰であろうかといぶかりながら、扉を開けると、

「こんにちわー」

◇壮年の女性が2人、にこにこしながら立っていた。そう言えば最近使わないね、壮年って。あちきは中年より上、老年より下だと思ってるけどどうでしょう。

◇もちろん、おふたかたがにこにこしているのを眼前にしているあちきの後ろからは、猛烈に愛犬どもが吠えまくっている。この女性達はそれに関して何も感想を持たないのであろうか。早い所撤退すべきである、という至極当然の結論に回帰しないのであろうか。

「元気なわんちゃんですねぇー」

◇いや、うっさいの間違いではないだろうか。だいたいおにょれらは我が家のわんわん警備隊に不審人物と定義させたのだ。帰れ。とはいえ我が家のわんわん警備隊は、家族であっても確認されない限り家に接近するものはおしなべて敵、とみなしているのだが。

「奥様でいらっしゃいますか」

「違います!」(かなりきっぱりと)

◇確かに20代の女性が家からエプロンをして出て来たら奥様に見えるよな。しかしながら、あちきがしていたのは効果のほどは定かではない、秋葉原で投げ売り状態、気は心の電磁波エプロンであった。かなりの長丁場になりそうだったので、ちょいと着けてみたのである。

「お嬢様ですかぁ、そうですよね、お若いですもんね」

そーかーぁ?

「私達〇会のメンバーなんですよ。お嬢さんは皆が幸せに暮らせる生活に興味はありませんかぁ?」

「無いです!」

「え?世界の人類皆が幸せになれる生活ですよ」

「だから、そういうシステムは無理です」

はぁ(ため息をつきやがった)

「それは間違いですよ。良いですか」

「良くないです」

「良いですかお嬢さん、あなたは自分が良ければ人はどうなっても構わないとおっしゃるのかしら」

「いえ、ですから私も不幸もあるし、良い時もあります」

「それがね、すべて幸せになっちゃうのよ」

「嫌です」

「あら、どうして?」

「それは自然では無いです。ありえない事です。不幸があるから幸せになろうと努力するんです。努力の出来ない人間など、堕落しているのです。ですからそんな話は聞きません」

がちょ。

◇相手の反論を待たず、速やかに扉を閉めた自分の手際に半ば感心しながら、見事に今回の任務の為に声を枯らして出動した、わんわん警備隊に報酬であるほねっこを配給すべくダイニングに向かうあちき。この時、もう来ないだろうと思っていたのは実に迂闊な考えであったのだ。

続く>>>

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