かすみ荘 - 雑文:嗚呼なつかしきラジオ体操の日々2
[もどりゅ]

078. 【嗚呼なつかしきラジオ体操の日々2】 (2001.06.15)



◇前回の続きである。長くなりそうなので分割したのだ。分割したのに深い意味は無い。

前回までのあらすじ:生き別れになった母を捜していた佐藤 錦(さとう にしき)は、実は変身忍者ヒーロープラズマンだった。敵の将軍イワッシは間抜け獣カモイケを出撃させ、幹部マリィが間抜け時空を発生させる。危うし、佐藤 錦。ところがそこに、宇宙刑事チェ・リーが現れて・・・。

◇ラジオ体操の話である。それの陣地取りの話である。

◇陣地の基本は足でごじごじと四角、無いしそれに準じた角形を書く。1人用の正方形、2人用の長方形などがあり、その陣地の内側に体操カードを置く事により、陣地が生じるのである。この体操カードが飛ばされたりした場合、陣地は無効になるので、カードの上に重しを置く事は基本だ。しかし、それだけで安心してはいけない。後から来た者に陣地の端っこを削られてしまう可能性があるのだ。もちろん、陣地削りはルール違反であり、発見された場合喧嘩に発展したり、大人力の介入による怒られもある。

◇この陣地削りに対抗した陣地表明方法として、縄跳びを利用した陣地というのがある。二本の縄跳びの飛び縄を結び、適度な大きさの陣地を作るのである。これならば、広げたサイズの陣地を取っていたという証明になるのである。一つ問題があるとすれば、陣地を取る為に二本の飛び縄が必要とされるので、飛び縄物資をいかに調達するかがポイントになっていた。兄弟がいればそれを強奪すれば済む話ではあるが、その兄弟だって相手の飛び縄を狙っているのである。家庭でも騒動が発生していた。

◇ルール云々といわれていたが、所詮子供の中だけのローカルルールであり、陣地を取る、という行為自体、小学生以外のラジオ体操人にとっては非常識な話である。そのうち町内会の役員の方が陣地を撤去するようになり、撤去後にまた陣地を取り直すという戦いも起こった。この時、怒った役員の方が体操カードを取り上げ、その日の体操終了後、有無を言わさず取り上げた体操カード全てに黒の済印を押し、小学生に激しいダメージを与えた事もある。

◇陣地を取るのに夢中になったのは、女子より男子の方が気持ち多いくらいで、こういう事に熱心なのは主に男子であるかと思うのだけれど、そうでも無かった。皆がここまではまった理由はいかなるものか。毎日ではんこを貰えるという目先の結果が分かり易いという理由ではないかなと推測する事が出来るのだけれど・・・。

◇ともかく、陣地取り合戦は熾烈を極め、朝の4時起きなどという強者が現れたり、陣地のカツアゲ、上納などというブラックな事件も発生したりと枚挙にいとまが無かった。この陣地合戦が盛り上がり、ローカルな検閲がかなり厳しくなった頃に夏休みは終わるのだ。

◇陣地取りの後にも戦いはあった。狙った列にいかに早く並ぶか、である。ラジオ体操は深呼吸三回で終了する。手を上に挙げ、横に伸ばし、気を付け。これで一回。この最後の一回の時に、ついでに一歩前に進むのである。ちゃんちゃか深呼吸で一歩前。ちゃんちゃか深呼吸で一歩前。さいごの深呼吸はちょっとゆっくりだ。ちゃん、ちゃん、ちゃん、ここでダッシュ、ちゃん、ちゃん。

◇実はあちきはこのバトルに参加しなかった。はっきり言うと、早起きするのは構わないのだが、運動全般が嫌いだったのでラジオ体操は義務だと思っていたのである。体操なんぞをするより本でも読んだり、味噌汁を作ったりする方が断然楽しかったのだ。なので、いつも後ろ側でだらだらと体操をしていたのであった。

◇ところが、ある年に子供会の書記にされてしまったのだ。書記だろうがなんだろうが子供会の役員である。役員は前で体操をしたり、スタンプを押したり、スタンプ押印用のテーブルをセットしたりしなくてはならない。だらだら体操をしている訳にはいかなくなってしまった。

◇しかも恐ろしい思いをする。考えても見ていただきたい。自分がちび子供(あちきは学年一ちびだった)だとして、体操が終わりに近づいてくると、前にたくさんいる子供達の目の色が変わり、周囲を牽制しだし、深呼吸の動きに合わせて、ずさっ、ずさっ、ずさ、だっしゅ!と近づいて来るのである。たくさんの人間がじりじりと近づいて来れば、普通圧倒されるものである。最後のダッシュで、毎日テーブルが倒れんばかりに突っ込んでくるのである。

◇果たして、現在もこの様な事が起きているのだろうか。多分無いと思うのだけれど、今度の夏休みにでも検証してみたいと思うあちきなのである。

どうでもいいけれど、早起きする分より、最後に好きな色を押して貰う為に皆が押印してもらうのを待っている時間の方が短い気がするのだけど、どうか。ちょっと面白味は無いけれど。

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