かすみ荘 - 雑文:着めろでめろめろ
[もどりゅ]

086. 【着めろでめろめろ】 (2001.06.29)



○てっててーれれーん。てっててーれれーん。帰りの通勤電車で誰かの携帯電話が鳴った。

○朝の殺人ラッシュとは打って変わって、定時(17時)退社で乗れる電車はそれなりに混んでいるけれども余裕のある状況である。朝の殺人ラッシュの時に携帯電話が鳴るという事はまずありえない。鳴った所で電話に出れないし、下手に鳴らそうものなら周囲の人間の不評を買い、事によっては喧嘩に発展してしまうのである。だからマナーモードなるバイブレーション機能が付いているのだけれど、先日、そのモードにされている電話の為に、あちきと知らないおねえちゃんがちょいとバトルを繰り広げたのは記憶に新しい。やつがだらしなく鞄を持っていたので、それがあちきの横っ腹を圧迫し、かつその状態で何回もばんばん着信があって、その度にあちきのお腹に低周波ぶりぶり攻撃が加わったので、鞄をお姉ちゃんに押し返したら睨みやがるん。睨み返したら体で押しやがるから、押し返して、したらば足をぎゅぎゅぎゅーって踏みやがった。なので、あちきの降りる駅で鞄を引っかけて一緒に降ろしてしまって、ついでに「あー、服が引っかかってるぅ。ごめんなさぁい。駄目だったらカッター持ってるから切り裂いてでも外しますねぇ」とかゆいながら押え込んで下目遣いににらみ倒し、電車に乗せてあげませんでした。これであのお姉ちゃんも、この先電波系だけは相手にしない様になると思う。

〇さて、着信した人物は程なく電話に出た。着信メロディー、通称着メロは西部警察であったのだけど、本人は西部の広野も警察も似合ないであろう、おじさんであった。あちきは西部警察という番組をなつかしのテレビ特集以外で見た事が無いので、おじさんの西部警察に対する想いを想像出来ず、しかも臆面も無く話し始めた事にちょっと不満だった。

「あ、俺俺」

普通かけた方は俺にかけたつもりだろうから、わざわざ俺とは変ではないか。

「あ、そうそう、電車。小杉。ちゃんと聞こえる?」

そうだ、電車だ、早く切れ。己の所在の報告などをしている場合か。

「それかぁ、そうそう。うちのかみさんがね、嫌だって」

おにょれは刑事コロンボか。

「あ、平気平気。ちゃんと聞こえるし。そうだよな、うんうん」

聞かされる方は平気では無いのだよ。西部警察所属のコロンボ君。

○ぴーろろ、ぴろぴろりろろ。誰じゃぁ、うがぁ。

○今度は女子高生の電話だ。しかも、狙ったかの様に女子高生の隣のOL風の女性の電話も鳴った。女子高生のが浜崎あゆみ、OLさんはモーニング娘。であった。さらに、後ろにいた男性にも着信、音楽は武富士。うみゅ、レオタードの娘さんが踊ってしまうぞ。

〇にしても、16和音がどうとか、スーパーメロディがこうとか、ダウンサイトがああとか色々あるもんだなぁとちょっと感心。あちきの電話はPHSなので、そんなにすごくないのだ。最近の調べによると、携帯電話とPHSのシェアは9対1なんだそうな。i−modeってやつもここまで流行るとは思わなかったし。あちきは新しもの好きだったので、東京テレメッセージの数字しか出ないポケットベルも導入した事があるし、PHSも発売すぐに飛びついた。なので、携帯電話を持っていないのはおかしいと友達にもせっつかれているのだが、データ通信にも使用しているのと長期割引が効いているので使用料金的にもこちらの方が嬉しいのだ。

○日吉駅で下車して改札に向かう途中、隣の童子の携帯電話が鳴った。どこかで効いた事がある音楽である。えーっと、これは、これは、あ、あれだ!タイタニック!

〇少年よ、君の選曲なのか?だとしたら嫌すぎる。また、家族が入れたのだとしたら、早く変えてしまえ。君はこれから塾に行く様だが、受験戦争で沈没したらどうするつもりだ。映画その物は見た事無いが落ちは知っているぞ。女の為に男が犠牲になるのだ。君は誰かの犠牲になるのか?

〇彼の後ろ姿を眺めつつ、自分の着信音楽ってなんだっけ、と思うあちきである。いつもいつもマナーモードにしているので多分、買ったときのまま、普通の呼び出し音なんだろうなぁ。ところで携帯電話って何で携帯って略すのだろうか。携帯って言うのはそのものを身に付けて所持する事では無いのか?今度から携帯持ってる?って聞かれたらいつも携帯している鏡か筆記用具を出してあげることにしよう。

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