かすみ荘 - 雑文:占有離脱物を拾ったので
[もどりゅ]

091. 【占有離脱物を拾ったので】 (2001.07.06)



○帰宅時、発車前のバスで2人がけの席に座って居眠りをしていた。うとうとしていると軽い振動があったので、隣を見ると荷物をたくさん抱えた若い女性が座って来たので、ちょびっとだけ端に寄って、さらに熟睡体制に突入した。

○人間の習性とは面白いもので、日頃から行っている行動は無意識に行えるのだ。あちきもいつも降車するバス停で・・・、すいません、降りそこないました。起きた時には発車してました。というより、寝てると50%くらいの確率で次のバス停まで行ってしまいます。うう、これが打率とかなら良いんだけどな。あと、敵の攻撃を回避する確率とかでも良いな。

〇ふにゃふにゃと頼りなく目を覚まし、降りる準備していると、足元にピンクの財布が落ちている。あちきの財布ではない。何が哀しくて財布を落とさねばならないのだ。あちきは財布を拾った事はあるが落とした事は無い。今までに落として取れなかった小銭も100円以下であるとあちき記録でメモリー記憶している。最近は5円をセブンイレブンのお弁当ケースの下に落としてしまい、断腸の思いで諦めたりした。もしも、外出先でなかったら、50cm定規で救出を行ったに違いない、

○さて、お財布を拾ったのは良いがどうしたらいいかと考えた。運転手さんに渡すにはちょいと遠いし、そうこうしているとバス停に到着してしまって、お財布を持ったまま下車してしまった。中身を見れば身元も判明するだろうと思い、お財布をあらためると5万円ほどの現金、バスカード、免許証、病院の診察券、テレフォンカード、あちこちのスタンプカード、キャッシュカード3枚、クレジットカード3枚、その他レシートなどが入っていた。どうやらこの女性は何でも1つのお財布に入れちゃうタイプらしい。これだけあればしばらくは遊んで暮らせるかも知れない。もしこの女性が暗証番号を誕生日にするタイプだったら、さらに多額のお金が引っ張れるかも知れない。もちろんカードでお買い物も可能だ。しかもお財布はヴィトン、人気があるらしい。あちきはそーゆーのわからないので何とも言えないけれど。

○折角なので家に帰ってから家人に隠れてお財布の中を詳しく物色する。当初確認したもの以外にはこれといってめぼしいものは見つからない。女性がどのバス停で降りたかも覚えていないし、あちきもずっと下を向いて寝ていたので、彼女は今頃大騒ぎをしているやも知れぬ。お互いに顔など分からないし、同じバスに乗る縁ももう無いのではないだろうか。

〇こうなったらやる事は一つである。電話だ。まずは友人に電話してみる。

「あにょ〜ん。かすみさんなりよ〜」

「どうしたの?」

「お財布拾っちゃったなり。お金いーっぱい入っているなり」

「へー、おごって」

がちょ。

○うみゅ、電話先に友人はいけない。悪の道を説いてきやがる。こりはいかん。

「もしもし、わたくし沙羅と申しますけれど○○さんのお宅でいらっしゃいますか?」

「はいそうですけれど」

「◇◇さんはご在宅でいらっしゃいますか?」

「あ、私です」

「あのですね、本日貴方の定期券の入ったお財布を拾ったのでお電話しているのですけども・・・」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?」

「私△△バス停の近くに住んでいるのですが、取りに来られますか?」

「あ、ありがとうございますぅ!」

?おぎゃぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ?

〇あちきも大人なので、ちゃんとした電話もかけられるのだ。すっごく大きな女性の声の後ろで、赤ちゃんの泣き声がした。そういえば産婦人科の診察券も入っていたもんな。

〇その後、家の近くのバス停まで旦那さんと一緒に車で取りに来た落し主は可愛い赤ちゃんを抱えていた。

「中、確認して下さい」

と、言うと旦那さんが、

「バスの床に何も落ちてなかったんですよね。だったら大丈夫です。チャックも付いてるし」

「いえ、でも後で確認したら入ってないものがあって、私が疑われたら・・・」

「ちゃんと連絡くれる人がそんな事する筈ありません」きっぱり。

○現金は貰わなかったけれど、お菓子の詰合せ2箱、ケーキ7個、さくらんぼ1パックをいただいて家に帰ると、拾った事を言っていなかったので家族全員に問い詰められてしまった。

○にしても、何であちきが素直に電話した事を、皆もったいないというのであろうか。しかも友人はおごられ計画まで立てやがるし。んでも実はその時のあちきのお財布には、現金が200円くらいしか入っていませんでした。次の日は母から千円借りて出勤し、銀行へ急いだものです。やっぱり千円だけこっそり抜いておけば良かったかなあ・・・、あ、いかんいかん。

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