かすみ荘 - 雑文:新居獲得大作戦
[もどりゅ]

097. 【新居獲得大作戦】 (2001.07.18)



○渋谷に降り立つとこれでもかというほど夏の日差しが肌に突き刺さって来る。ビバ、サマー。日差しが痛てぇ。用意した日傘の上からがんがんと照り付ける日差しを感じながら、坂をがんがん登る。隣に彼氏。暑いねぇ、というと夏だからね、との事。そりはわかってるさ、一応そりなりの人生を送って来たのだから、そう、夏は基本的に暑い日が多い。

○宮益坂をだらだらと上り切れば、青山のこどもの城は近い。東京都住宅供給公社は城の裏にあるらしい。わっかりずらい地図だよねぇ、と言っていたら発見出来た。うう、非難して申し訳ない。これより戦闘開始、なのだ。

〇さて、あちき達はいったい何をしているのかというと、東京都の某市にある公団住宅を手中に納めるべく、早朝より出陣して来たのである。もちろんあちき達が住む訳では無い。無いが、もちろんとはどういう事だ、自分よ。いつまで60過ぎの父の家にパラサイトする気なのだ、自分よ。答え、気が済むまで。いや、そんな事はどうでも良い。住むのはあちきの弟夫妻である。あちきの弟が余所様のお嬢さんをたぶらかし、あまつさえ子供まで創造しちまったのだ。弟よ、計画性というものを持ち給え、今更言っても仕方がないがな。

○本日は月に一回の、公社の先着順住宅受付なのだ。今日訪れれば早い者勝ちで空いている部屋を確保出来るのだ。あちきの目的の団地は23区でもなければ駅から離れているので、人気は薄い。が、東京23区の奇麗な住宅はごっつう人気がある。オシャレで便利な場所に安く住みたいと思う人が多いのは、まあ肯ける事ではあるが、その23区(特に世田谷、品川、目黒などが人気高だった)に居を構えたい方々は、少しでも早く受付されたいという気構えの為、前日より徹夜という方も多いそうな。ので、受付番号は254番。何処の場所を希望していようが、受付は早く来た人から。公平なのだ。どうやら徹夜する人も多いらしい。張り紙によると?整理券は朝5時45分から配ります?との事。職員さんもご苦労様、なのだ。

○整理券の番号順で30人くらいの人が待機用の椅子に着席出来る。それまでに記入する用紙があるので、壁に張られている空き部屋を確認して置く。受付窓口の数は3つ。1人当たりをさばくのにかかる時間は5分〜15分。時々ぜーんぜんなーんにも記入しないで受付まで行ってしまう不埒者が時間をかけまくっても、受付の方は丁寧に説明してくれる。その背中にあちきが念を送る。?おにょれ、基本的な事くらいやっておきやがれ。呪っちゃるわー?

〇150番辺りで呪い疲れるあちき。っつーか本当に呪っていたら精神持ちませぬな、多すぎて。今度は自分の弟を怨み始めるが、一応曲がりなりにも可愛い弟なので、住宅見取り図などを見て気を紛らわす。ちょっと奥たま、お家賃12万円ですって。どんな方が住むのかしらん。って10万超えてるマンションって以外と多いのだな。ずーっと父の家に住んでいるのでわからなかったぞ。世間の風は冷たいのね。あちきの常識が無いだけなのだろうけど。しかし、こうやって間取りなんぞを見ていると、我が事の様に住居を吟味している自分に気が付いた。ええと、3LDK以上でぇ、駅から近くて、買い物に便利、出来れば一戸建てだけれど、この際マンションでも良いわって、おいおいあちきの給料じゃ倍は貰わないと家賃や諸経費を払えないわ。いやん、いやん。

○そうこうしていると何とか200番へ。それでもまだまだなので、ちょっと自動販売機でお茶。おお、100円だ。さすが公的機関。儲けを出してはいけないのだな。んでも缶しか無いのは不便です。ペットボトルなら飲みきれない分、取っておけるのに。ま、あまりは彼氏に飲んでもらったので事も無し。また事務室へ。やっと220番台だ。ああ、何もしないで立っているのは一番こたえるなり。膝が痛い。かといって人が多いのでストレッチすらもままならぬ。ここでストレッチを始めたら、彼氏はどんな反応をするのであろうか。・・・。見たい、見たいぞぉ。

「254番の方!」

〇ちっ、命冥加なやつめ。でも座れたので良し。もちろん前に25人以上の人がいるから、受付まではまだまだかかるけれど。折角座った椅子も、一人ずつ呼ばれる度に動かなくてはいけない。立って、ずれて、座る。立って、ずれて、座る。繰り返す運動は、そんなに頻繁には行われないが、じりじりと進んで行く。うがぁ、椅子多すぎ。人間というのは欲深いものなのだな。先程までは座りたい、と思っていたがとにかく受付に行きたいっ!しかも、あちきの前の人の希望団地名が、弟のと一緒ではないか。いかん、押さえられてしまう、先に押さえられてしまうぅ。おお、待ってくれ、お兄さん、押さえないで下されぇ(我侭)。あ、窓口空いた。

「どうぞ」

「お願いします」

「希望の部屋番号はありますか?」

「いの204号室です」

「空いてますよ」

「あ、ありがとうございますぅ(天使だ、このおっさんは天使だ)。間取りは2DKですよね」

「いえ、2Kです。2DKが宜しいのですか?」

「はぃぃぃぃぃ。2DKで2階以上4階以下ででい号棟の20番台(にしても弟注文多すぎ)。」

「ええと、ありませんねぇ」

はーうー!

「ではい号棟の10番台か、は号棟の20番台で」

「ええと、これは、あ、一階か。これも、一階(一階人気ねぇなぁ)。あ、ありました。はの2×の4階」

「そ、それでお願いしますぅ」

「では、次はお名前で呼びますから、あちらの窓際でお待ち下さい」

また、待つのねぇぇぇぇ!(しばし時間経過)

「鈴木さん、鈴木ただしさん」(弟仮名、一応名字も)

「はいぃ」

「はい」

あちき達ともう一組のかっぷりゃーがカウンタに向かう。

?鈴木直?ああっ、正じゃねーでやんの。あちきの負け。あちきの名字、ポピュラーだからなぁ、弟の名前もポピュラーだし。

〇そんなこんなで何とか手続きを終了。この後郵送される書類を確認して、必要書類を集めて、指定日に本契約。そんでもってさらにその後日、鍵などを取りに来るのだそうな。うみゅ、もう二度と来ないと思ったが、終わってみればもうちょっと協力してあげてもいいかな、と思うやさしいあちき。そだ、家に電話せねば。

「あ、おかあさん。かすみちゃんです。」

「ご苦労様。で、どうなったの」

「ええとね、はの2×の404が取れました」

「404〜?それって4階?」

「そだけど」

「あなた、妊婦さんが4階なんて辛いに決まっているじゃない。何でいっそ1階にしなかったの」

「だって、1階は不用心で嫌だってゆってたから」

「それで階段とか落ちたらどうするの。エレベーター無いのに。まあ、仕方が無いわね、他に無かったのでしょう」

「うん。後はバス停から遠いの」

「わかった。正にも電話してあげてね」

「はい」

○悔しいので、二度と協力しない。と、思った。

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