かすみ荘 - 雑文:走って滑って転んで起きる
[もどりゅ]

113. 【スノーホワイト疾風怒濤】 (2001.08.24)



○約40日です、小学生の夏休みは。何回も書いているのだけれど、あちきの家の裏にある社宅マンションでは、夏休みを満喫すべく日々騒いでいるお子様がわんさか生息しています。今年、あちきが確認したイベントだけでも、お子様花火大会が5回、流し素麺が3回、絶叫かくれんぼがほぼ毎日、スイカ割りが5回、プールが3回、基地外ピアノリサイタルが週に2回くらい、水鉄砲バトルが数回、とまあ大変な事になっている様子。うっさいし。まあ、子供はそれも仕事なので、安眠妨害さえしなければ、あちきも大人の余裕で我慢する事にしております。

○で、今は夏休みなので学校関係のイベントではさほど騒ぎは起きないと思っていたのですが、どうやらあちきの読みは全然甘かったらしい。夏休みの宿題は激減したものの、イベントは増加しているのかも知れない。習い事やクラブや塾や、夏の間にこれをしよう、という目標があるみたいだ。

○その目標の一つらしいのだけれど、裏のお嬢ちゃんの中に、群を抜いて可愛らしい女の子がいる。もちろん、他の子が可愛くはないという訳ではなくて、非常に可愛らしい子がいるのだ。恐らく、あれほど可愛いのであれば顔一つで稼げる仕事にもつけるのではないであろうか。おんもでスカウトなんかもされているであろう。そのお嬢ちゃんは何やらわからないのだが、何かの組織に属しており、その組織は秋口に何やら演劇の公演をするらしい。しかも、彼女は主役らしい。一生懸命練習をしている。

「私はこの国の白雪姫です。悪い王妃に命を狙われているのです」

○あちきは昔、演劇部であった。あちきは昔、白雪姫のお話をして従姉妹の子供を恐怖におとしめた事がある。あまりにも一生懸命練習していたので、あちきはあちきの家の庭から声をかけた。

「とっても綺麗なお嬢さん、私はりんごを売っているのです。とっても美味しいりんごはいかが?」

「まあ、とても美味しそう。一ついただいいても良いかしら」

「どうぞどうぞ、とーっても美味しいりんごだよ」

○にこやかにそれを見ているお譲ちゃんの母。しかも、お嬢ちゃんは台本をこっちにも見せて来た。何であちきはおんもで立ち稽古をしているのであろうか。とはいえこりは身から出た錆というやつである。こうなったら最後まで付き合うわん。お嬢ちゃんの役以外を一人でやるのはちょいと計算外であったが。

○話がとりあえず最後まで終わったので、あちきが家に戻ろうとすると、お嬢ちゃんのお母さんが話し掛けて来た。

「ありがとうございます。何かそういうお仕事をなさっているのですか」

〇ええと、そういうお仕事とはどういうお仕事を指しているのであろうか。あちきが考えられる可能性として、売れない役者、役者の研究生、保母さん、幼稚園の先生、売れない声優、ローカル子供番組の出演者、子供番組の着ぐるみの具、児童誘拐犯、お役所の人、こんなものであろうか。

「いえ、こんぴうたぁ関係です。学生の時に演劇をやっていたので」

「そうですか。良かったわね、○○ちゃん。これからお姉さんが暇な時に相手してもらえるわよ」

勝手に決めるな。ぜってぇしねぇ。

〇はしゃぐお子様に内心困惑しつつ、大和民族特有の、困った時の愛想笑いを浮かべてその場を脱出した。

○その後、お嬢ちゃんはあちきを発見すると?王子様のお姉さん?とちょっとばかり非常識な名称で呼びかけるのである。しかも、あちきが何をしていようが練習に付き合わせようとするので、あちきは自分の家の周辺で、胡乱にも周囲を気にしながら歩いております。きょろきょろしている様はちょっと不審者です。

○昨日はお嬢ちゃんに見事捕獲されてしまいました。とはいえ時間も遅かったので解放されました。その時に「明日、遊んでくれる?」と聞かれました。「ごめんね、お仕事があるの」「ふ〜ん。休んじゃえばいいのにぃ」悪魔のささやきです。お嬢ちゃんに付き合う気はないけれど、もっともっと休みたいのです。あちきは駄目人間なので、休んで遊びに行きたいのです。今、あちきは色々な思想で頭がぐるぐるしています。そして目をつぶると、ダッシュで駆けて来るお嬢ちゃんの顔が・・・、これは嘘です。ですが、お嬢ちゃんが突っ走ったり、「王子様!」と絶叫しているのは事実です。

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