かすみ荘 - 雑文:ぎゅうぎゅう
[もどりゅ]

127. 【背中越しの腹式呼吸】 (2001.11.12)



○あちきの背中がさっきから波打っている。正確には、あちきの背中ではなくて、後ろの人のお腹が波打っているのだけれど。朝の通勤ラッシュで、一人の人とぴったりくっつくのは珍しい。大概、ごちゃ〜っと乗って、適当にぎゅっと詰め込まれるので、密着と言う事は無いのだ。

○先日、地方に住んでいる友人より、通勤ラッシュというけれど、人がちゃんと乗れるのだから、そんなに大変じゃないんじゃないの?というありがたいご意見をいただいたが、乗れるから問題である、と言いたい。これも乗れるから、は誤りで、乗せる、乗り込むというのが正解だ。他人をぐいぐい押しながら乗り込む人、荷物の様に人をぐいぐい押す駅員さん。鮨詰めと言う言葉があるが、鮨が羨ましい。鮨はちゃんと自分の大きさできっちり詰めてもらえているではないか。あちきなぞ時々宙ぶらりんになっているぞ。ぶらんぶらん。こないだはバレリーナだったな、片足のトウで立っていたね。そんで、揺れた時、ああ、もうぶっ倒れるしかないんだわ、とか思ったら、知らないサラリーマンの若者が抑えてくれた。ありがとう知らない若者よ。ま、彼も誰かに支えられていたみたいだったけれど。人という字は支えあっているのだ、by般若教頭(何故ペルソナ?)。

○あちきは山手線のラッシュと言うのは知らないので、まあるい緑の山手線に乗っていらっしゃる方には「けっ、渋谷行き東横線だぁ、あんなのラッシュじゃねえよ。ぺぺぺのぺ」などと言われてしまうかも知れない。が、やっぱり通勤ラッシュは殺人ラッシュだと思うのだ。それに目黒に通っている友達は、東横渋谷→山の手と乗り継いでいるが、どっちも似た様なもんだと言っていた。テレビで見た時は乗れない人が出ていた。素晴らしいぞ乗れない人々。貴方達の英断によって、車内でく「ぐえ」とうめいている人が少しだけ救われた、多分。それよりの何よりも、怒られながらも乗れそうも無い人をドアからひっぱがしていた駅員さん、貴方方の怒られてもひっぱがす犠牲的精神によって、車内の「ぐえ」とうめく事すら出来ない人が少しだけ救われた、多分。

○そんな訳で、知らない人の腹式呼吸を感じながら電車に乗っていたのだ。状況的にはコバンザメに似ていたかも知れない。勿論、真後ろにいた人があちきに何かくれる訳じゃ無いのだけれど。こう言う時、あちきは少しでも後ろの人に寄りかからない様にしようと頑張ってしまう。普段でも後ろの人には結構気を使う方だと思う。あちきの中で、後ろにいる人に迷惑をかけるのは、あちきの頑張りが足りないからだ、という考えがあって、寄りかかったり、足を踏んじゃったりしたら後ろの人はあちきから被害を受けた事になる。だから、後ろの人はたとえ関取でも守って上げなければならない。あ、でも関取の方がラッシュの電車に乗って来たらすっごい嫌。あちきの3倍くらい容積取るじゃないか。うみゅみゅ。んで、逆にあちきの前にいる人は敵なの。だってあちきに寄りかかって来たり、足を踏んだりするのは前の人だから。今日も前の人はぎゅーって足を踏みやがって、そんでぜーんぜん何のリアクションも無いから(例えば目顔でごめんねとか、声でごめんねとか)、悔しいのでえいえいって踵を蹴ってしまいました。一応謝ります、ごめんなさい。此処で言っても届かないけれど。でもでも、こちとら足が赤く腫れてるも、痛かったんだも。

○さて、本日は朝から体調が優れなかったので、学生さんの登校時間をずらして電車に乗り込んだのだけれど、それでも充分に混んでいた。ほら、そこのお兄さん、鞄は抱えてもちたまい。ああそこのお嬢様、駄目よ、駄目、駄目、ポートフォリオのかっどこをカバーしないとっ。そうやってぐいぐい乗り込んで、ふと気がつくと、真後ろの人のコバンザメになっていたのですよ。しかも後ろの人の手の甲が、あちきのぷりてぃひっぷちゃんに密着。

○あちきは女子なので、男性の苦悩と言うのは雑誌やニュースなど、二次的に知る事しか出来ないのだけれど、こう言う時、男性は物凄く困っているらしい。偶然手が知らない女性のおいど(おひっぷちゃんの事です)に当たってしまっている。もしかすると痴漢誹りを受け冤罪をこうむってしまうかも知れない。俺、ピンチ、俺、ピンチ。頭に俺ピンチのテーマ(例えば崖っぷちからぶら下がって、上にいる人が手を掴んでいてくれていて「ファイトー!」とかゆってる時に流れる)が流れて来て、そういやあ前回この曲が鳴った時は、インスマンスの町で真夜中に逃げ回った時だったなぁ、その前はシュトレゴイカバールで、てけりり、てけりりと鳴く生物から逃げ回った時だよなぁ、とかってなるらしい。後ろの人は電車の揺れた瞬間、手をずらそうとしてくれた。失敗(勇者お前は灰になりました)。電車の揺れぐらいでは抜けないほど、手はホールドされています。しかも、抜こうとした為に手の甲であちきのおいどをなでなでする事になっちゃったし。あちきも解ってますから大丈夫ですよ、何て言えないもにょ。わかってはいるけど、やっぱり嫌だし。

○電車がホームに滑り込み、ここだっ!とばかりに後ろの人は手をずらしました。が、乗車してくる人に押され、またしてもあちきのおいどにぎゅっと手が。脱出失敗。むしろ状況悪化(勇者お前は埋葬されます)。惜しかったね、惜しかった。あちきもいやんな気分ですよ。本当に。またしてもお腹がうごうご動いているし。

○こうやって朝の通勤電車に乗っていると、ああ、あちきは底辺の労働者なんだなぁ、と思ってしまうあたり、ちょっと哀愁。良く日本人って、皆中流だと思っているっていうけど、中流っレベルて殺人ラッシュの電車で通勤するものなのかな。あちきは違うと思う。いくらお給金を貰って、それなりに美味しいものを食べに行けて、こざっぱりとした身なりが出来ても、人間以外の動物だったらこんな状況を10分でも行ったらストレスでどうかなっちゃうと思うのですよ。お家だって個人の延べ面積で割ったらすっごく狭いみたいだし、具合が悪くても病院に行きづらい人も多いみたいだし。何か違うと思いまする。

○こうやっていつも中流ではないあちきについて考えさせられる電車ですが、東横線の某駅と某駅と某駅の駅員さんに言いたい事があります。

「押すのみの攻撃は止めて下さい」

○それらの駅の駅員さんは必死に乗車しようとしている人を押します。延々押します。乗り込むまで押します。いくらなんでも押すだけと言うのはいけません。昔から言います。押して駄目なら引いてみな。あえて乗せないという選択もあるではないですか。無理繰り乗ろうとしても無理であると言う事をわからせてあげて下さい。そんなに一つでも早い電車に乗りたいというのなら、5分早起きしやがれ、という事をわからせてあげて下さい。こちとらもっと前の時間から乗っているのです。呼吸困難になっているのです。あちきを殺す気か、駅員さん。てめぇが押すからあちきの呼吸が途切れ途切れになるんだよ、ゴルァ(いやん、2ちゃんになっちゃう)。

○昼間は飛び乗り止めろって言うくせに、朝はホームを駆け上がってきた人を押し込むんだもん。矛盾だ、矛盾。今度は降りた時にホームで倒れてやる。

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