かすみ荘 - 雑文:社長、面倒な客を連れて行ってごめんなさい。
[もどりゅ]

161. 【説明の難しさ】 (2002.03.27)



○先日より母の所属するコーラスグループの発表会の為、プログラム、チケット、チラシ作りにかりだされている。かりだされる、と書いたが実際のところはメイン作業者としてこき使われているというのが正しい。まだ、印刷物係が母ではなくU子さん(グループ員。kasumiの同級生のお母さん)で、初っ端から行き詰まってしまったU子さんがあちきの母を係に引っ張り込み、二人で印刷代の高さに頭を抱えている(予算は合計7万以内。印刷屋の提示額はどこも20万以上)時に、あちきが余計な事を言ってしまった為、名誉顧問という名前だけは偉そうな称号をいただいた事に端を発する。あちきのその時の言葉が、
「じゃあ、kasumiが使っている同人印刷所(ねこのしっぽ・リンク張ってます)に相談してみたらどうでしょう?」というもの。あんな事を言わなければ、と此処のところ毎晩枕を濡らしている。

○此処で、堅気の皆様に同人印刷所とは何か、と説明させていただく。同人、という言葉が表す通り、同好の士が利用するお洒落な印刷屋さんである。印刷屋と同人印刷屋の違いであるが、チラシ1枚作るにしても、前者は見積もり、見本、レイアウト、など素人が行うには面倒だったり難しい作業をしてくれる上、高価な高性能印刷機を使用、代わりに、その分料金がお高い(商業印刷だしね)。後者は版下(そのまま印刷出来る元)までがっちょり作成して行かなくてはならない代わり、100枚程度の少ない印刷もしてくれるし値段が安い(印刷機は印刷所によってピンキリ)。同人印刷所のメインのお仕事は同人誌という同好の士の為のご本を印刷する事である。あちきは本は滅多に作らないけれど。だってリスの本はあまり売れないし。

○そんな訳で母とU子さんと連れ立って印刷所へ。あちきは此処で、一番最初のしくじり気分を味わう破目になった。最初に作るのはチラシ、という事だったので、行く前に綿密な打ち合わせをしたのだ。カラーで2000枚、この印刷屋で決めるのであれば、原稿(印刷の元のデータ)はあちきが作成。値段とコーラスの印刷などもやってもらえるかだけ、聞いて欲しい。解りにくい所はあちきが話すという内容であった。あった、が、当然の事ながらそりは無視された。ああ、予想していたけれどあれほどとは。

○お店の外観に大騒ぎをする母とU子さん。「kasumiちゃんこんなとこ出入りしてんの?」放って置いて下さい。「何、何、このマンガのポスター」それはマンガではなくてオリジナルキャラです。「ぷにけっとってなに?」ええと・・・ろりでぷにでいやいや、言えねぇ、言えねぇ。激しい後悔に襲われつつ、店に入るあちき。ああ、連れてくる前に社長に話をすれば良かった。えぐえぐ。受付嬢のT嬢にいつもの如く挨拶をするも、受付嬢の笑顔が固まった。そうでしょうね、そうでしょうとも。あちきの後ろから、おばさん二人がなだれ込んで来たのだから。

○その後、社長と専務が出て来て、何でもかんでも聞きたがるU子さんと、それに乗っかって質問を連発するkasumi母。無駄と知りつつも止めるあちき。「kasumiの母ですぅ〜。娘がいつもお世話になってますぅ〜」という一言が一番強烈。あんなにお約束したのに、あんなに約束したのに、のに、のに。しかも、あちきが先に説明した事も忘れて、全て気になる事を片っ端から聞いている。しくしく。唯一助かった事と言えば、この間に入稿(本や便箋などを作る為に原稿を持ち込む)しに来た人がいなかった事だ。もしも、この状態で大きなお友達が入って来たとしても、脱兎の如く逃げ様とする所をU子さんに捕獲され、全ての原稿を検閲されてしまった事だろう。U子さんは家であちきの原稿を見まくっていたしな。

○こうして、何とかチラシは出来た。あちきが悪戦苦闘したのは言うまでも無い。チラシの原稿であるが、通常無いフォントを使って、しかもワードの文章に粗い写真データを貼り付けたものを、コーラスの先生のお嬢さん(kasumiより年上)がプリントアウトしてきて、それをメンバーが承認。母がにこにこ笑いながらフロッピーを差し出して来て「これを印刷屋さんで使える様にしてってなったわよ。後、ここの灰色の文字を金色っぽくしてね」と言われた時には、後頭部からkasumiピンチのテーマが流れた。あちきは「フォトショップかイラストレーターで作成するから、それ以外のデータは一言相談して」と言ったのに。しかもお嬢さんはフォトショップもイラストレーターも知らないらしい。このまま作ってもらっても、あまりにも汚い仕上がりになるのは目に見えている。スキャナーで取り込み、写真も手に入れて高解像度で取り込み、フォトショップ上で切り張りみたいな作業して、何とか形になった。この一連の作業に対してのコーラス隊の皆様の言葉は「やっぱり仕事でやっている人は違うわね。プログラムもよろしく」であった。あちきの仕事はカメラ屋さんからパソコン屋さんとご近所での認知が変わったらしいが、どちらも違うのでどうでもいいのだ。しくしく。何でパンフレットまでやる事になってるかな。

○で、今、一番困っているのはパンフレットの表紙をどうするか、である。皆様、豪華な紙が使いたいらしい。ので、いちいち他のコーラスなどの紙を持って来てはこれはどうか、これはどうか、という談義をしているらしいのだ。勿論、紙の名前が分かる人はいない。そしてその度に聞かれるのだ。「××ってどんな紙?」と・・・。口で正確に答えられる訳も無く、紙見本を持っている物はそれを見せるのだが、そうでない場合返事に窮する。それでも一応は答えねばならないのだ。
 「マーメイドってどんな紙?」
 「凹凸のある紙」
 「どんな?」
 「説明出来ない」
 「どうして」
 「難しくて。象を見た事が無い人に象を説明するのが大変なのと一緒だから」
 「じゃあ、このひわだってどんな色」
 「知らない」
 「何で知らないの?」
 「製紙業者じゃなから」
 「だって普段使ってるんでしょ」
 「そんな名前の紙は使ってない」
 「このシルバーマスターって何?」
 「製版・・・えーと印刷するのに使う機械。綺麗に印刷出来る。印刷機」
 (以下、不毛な質問コーナー続く)

○説明するというのが難しいのは知っていたけれど、いくらなんでも此処まで聞かれるとは。ついに一番知りたい紙のイメージを実際に見てもらう為、あちき、御茶ノ水まで行って来ました。ええ、ええ。御茶ノ水の印刷会社がたくさんの紙見本を扱っている様だったからです。しかしながら、下手に紙見本を見せると、今回使う印刷所では扱っていない紙を指定してくるやも知れません。えてしてそういう現実は良くあります。ので、扱っている紙については、紙見本の端っこを、ハサミで斜めに切り落とすという内職をしておきました。これで安心。紙については。

○そうして、枕を高くして眠れると思った矢先、
 「この紙1枚いくらってなってるやつ、これでいくつの大きさの紙が何枚取れるの?」
 「135キロの紙って厚さ何ミリ?」
 「草木染めって本当に染めてるの?」
 「紙ってどうしてこんなに高いの?」
 「他のグループはどうしてるのかしら?」

○そんな事知らないって。

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