かすみ荘 - 雑文:とりあえず、寝とけ。
[もどりゅ]

169. 【転落人生】 (2002.04.11)



○打ち身と擦り傷で済んでいる辺りが、あちきの強運を物語る。

○眠い。今は春なのだ。春眠暁を覚えずとか、処処に雷鳥を聞くとか、夜来風雨の声だとか、花がいくつ落ちちゃったのかしらんとか、まあ色々言うけれど、春だろうが夏だろうが、寝不足の時は眠くて当たり前である。ぐう。

○そんな訳で、殺人ラッシュの電車の中で立って寝ていました。ぐう。立ったままでも寝ていられる、殺人ラッシュ万歳。ポイントとして、風に吹かれる柳の如く、あっちにふらふらこっちにふらふら。人の流れに身を任せていた。にしても、今日はとても運が良い。周りには可愛い女子高生のお嬢さん方と、綺麗なOLのお姉さんばかりである。これが男の人達であったら、寝るなど出来ず、必要以上に警戒しまくっていたに違いない。うみゅ、自意識過剰?

○それはそれとして、とにかく気分良くうつらうつらしていたのである。そうこうしている内に、電車は乗り換え駅についてしまった。ふらふらと人の間を抜けて乗り換え階段に向かう。いつもならば華麗に階段を小走りに駆け下りるのだが、ぽてぽてとゆっくり降りる事にする。なんといっても半眼なのだ。アルカイックスマイル。あちきのお雛様顔はさぞかしお上品なお公家さん並の表情であったに違いない。

○と、その時、世界が廻った。ぐらりと歪んだのですよ、世界が。ついに地球から重力の消える日がやって来たか?うみゅ、グラビティフォビアの出番か、ついに。いや、そりはないだろあちき。などなど、高速で自分につっこみを入れていたら、いつの間にか階段の下で転がっていました。何の事は無い、あちきが階段を踏み外して落っこちただけでございます。つまんないの。ともかく、此処に座っている訳にはいかないので、立ち上がろうとすると、「kasumiちゃん大丈夫?」と声をかける人がいるではありませぬか。むむ、あちきの事を知っているとは何者?って、何者も何も、乗換駅に同じ会社の人がいてもさほどおかしくはありませんね。ええ、ええ。「物凄い勢いで落ちたけど」

○そうか、そうなのか?物凄い勢いで落ちたのか、あちきよ。この人の物凄いの度合いがわからないが、あちきの物凄いという形容詞を使う時の度合いはそれはもう凄い事になっている時だ。たといば、階段の最初の数段で転倒、空を舞いながら高らかに悲鳴を上げ、そのまま飛び込み前転の様に一度空中で回転、のち、その勢いでムーンサルト、そして、軽やかに階段の踊り場に着地するといったくらいでお願いしたい。って、誰にお願いするのだ、あちきよ。その定義で行けば、悲鳴も上げてないし、多分回転もしていないで、気がついたらちんまり座り込んでいたではお話にならないのである。

○とりあえず「大丈夫です、ご心配おかけしました」と言って微笑み、逃げる様にその場を去るあちき。へらへら。後で見たらば腰に痣が出来ていた。とりあえず湿布でも張っておく。ぺたし。つびたい。しくしく。

○ともあれ気を取り直して会社。必至に働くあちき。すでに限界処理範囲を超えているのですが、誰もそれを助けてくれなくて、あまつさえさらに「あ、これもよろしくね。いやぁ、仕事速くて助かるよ」と言い放ち、あちきの机の脇にぽぺんとお仕事を置いていくやつまでいるのですが、こりはいったい如何なものか。あちきより全然高給取りなおっちゃんが、あちきの隣の席で寝ているのは、こりはいったいどうゆう事か。いぢめか?いぢめなのか?あちきは職場で嫌われているのか?しくしくしくしく。

○安い給料の人をフルに働かせる、資本主義の根本を体言させられている様なあちきは、自分の居室のある2階と出力資料を届ける先である4階を何回も往復する。仕事が増えれば増えるほど、往復は増える。研究・実験棟の天井は高いので、階段での往復はきついのだけれど、エレベーターの待ち時間が惜しい。それに階段の方が運動になるので、普段から階段を使う様に心がけているのだ。と、何回目かの降りで、今日二回目のめまいが襲って来たのだ。ぐらりん。

○べし、ぽて。

○気がつけば、踊り場の壁に張り付いているあちき。そしてそのままずりずりと壁面にへばりついたまま、床に向かって下がっていく。あう、危ない、廊下に顔をつけてはいかんん、いかん、いかん。女の子は顔が命なのだ、命が無くなったら死んじゃうのだ、だから顔は大切にしなくてはいけないのだ。もきもき。

○一日に2度も階段から落下する女、kasumi。転落という言葉が何か物悲しさを漂わせているが、ふらふらの原因は睡眠不足だったりする。毎日7時間は寝ている人間が3時間ちょっとを3日も連続すれば倒れるな、普通。

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