かすみ荘 - 雑文:幼児並行動に終わりは来るのか
[もどりゅ]

172. 【本物よりも本物】 (2002.04.16)



○前にも書きましたが、食品見本を指で押すのが好きです。

○食品見本、というものがございます。日本が産んだ職人の技、本物よりも本物の様な食品見本。食堂やレストラン、喫茶店などの店頭を飾るそれは、本物の食べ物より長い間その美しさを誇る、珠玉の作品。

○そんな食品見本を大量に売っている場所、それが東京方面では浅草は河童橋商店街である。正確には河童橋商店街で売っているのは食品見本だけではない。問屋街であるので、これからお店を開く、現在お店を開いてる方々向けの商店街である。しかしながら、資本主義というか、拝金主義というか、金が基本の世の中では、儲ける為には一般客も相手にしちゃうぞ、という店も多く、休日になればあちきの様な素人さんもうろちょろしている。

○さて、そんな食品見本に心を奪われている、小学生レヴェルの心を持っているあちきですが、此処で食品見本を購入しようかどうかと迷っている。値段は毛決して安いものではない。むしろ暴力値段である。新宿のぼったくり屋さんもかくや、である。我が社の社員食堂で400円で食べられるラーメンが7000円の高値である。20倍。例えば社員食堂のラーメンが諸々の経費(人件費、材料費、施設費など)を含めて原価が200円だとすれば、35杯のラーメンを売って初めて、食品見本の原価償却が出来るのだ。うわぁ、35杯・・・社員食堂ではすぐに売れそうな事に今気が付いたが不問に付すことにする。うふ。

○中空に誇らしげに割り箸を浮かべているラーメン、高級店以上の金額を要求するお鮨、入れ物からこぼれんばかりのクリームを誇示するフルーツパフェ、高級感とソースの照りが最高のビーフシチュー、目だって生き生き活魚、カラリフワリと揚がった天ぷら。ああ、珠玉の食品見本よ、あちきがゲルビイツ並に大金持ちだったら、「オゥ、こんなグレーェトな商品がこの値段で買えるなんて。店主、店の中のもの、全て頂こう」とかゆうのに。・・・。ゆうな、あちきよ。買ってどうするあちきよ。無国籍料理屋でも開くつもりか。しかも途中から人格変わってるし。

○そんなこんなで今日も今日とて大好きな食品見本を指で突いていたのです。ええ、ええ。会社の社員食堂で。我が社の社員食堂は、日替わりなどの本物と、定番の食品見本を並べていて、時々定番が入れ替わり、新しい食品見本が追加されるのです。やはり、食品見本を指で突く会会長のあちきとしましては、新作食品見本は余す事無く突かねばなりません。そんな会あるのか、あちきよ、ええ、今作りましたとも。

○本日の新規食品見本は中華風鳥肉(正式名は既に忘却の彼方)です。凄い、凄いわ、新しい食品見本。本物より本物っぽい作り、精巧な色合い。とはいえ、食品見本を突いてこの道20年、あちきの目は誤魔化せないわよ。この色艶はに、せ、も、の。本物はこんなに艶々してないもーん。えい、
 ?ぶし?

○次の瞬間、あちきの左人差し指、サイズ9号は、ぶっすりと食品に埋め込まれたのでした。折角綺麗に盛り付けられたお料理台無し。

○このままでは犯罪者の汚名が着せられてしまうので、周囲を窺いつつ、そーっと指を拭きつつその場を離脱する。最後の良心として、横に落ちてしまったお葱をこそーりと料理の上に載せて撤退。久々の大いなる敗北である。社員食堂の皆様、ごめんなさい。伝わらないでしょうがお詫びいたしまする。

○一応、お詫びも兼ねてデザートを2種類も食べたのだけれど、食事が終わって見本の前を通ったら、新しいのと取り替えられていたのでした。本当にごめんなさいっ!

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