かすみ荘 - 雑文:びよよ〜ん
[もどりゅ]

185. 【びよんびよん】 (2002.05.22)



○半月前、美容院へ行った。髪の毛を切りに行ったのだ。パーマをかけるとか、染色するとか、脱色するとか、あいぱぁをかけるとか、洗髪をするとか、そういう色気のある事をする訳でもなく、ただヘアカットというやつをやってもらいに行ったのだ。やってもらうといってもちゃんとお金は払った。よんせんえんも払った。お客さんだからだ。つまり、美容院がヘアカットをする対価といして要求する金銭、4千円を支払い、ヘアカットする権利を行使したのだ。別にこんなに持って回った書き方をしなくてもいいな、それだけだし。

○あちきは昔々、周囲の人が振り返ったりもする程、髪をなが〜い友達にしていた。人によっては、「トイレに入ったら便器に髪の毛が入りませんか?」という不躾な質問をあちきに投げかけ、「ちゃんと抑えますから大丈夫」と鋭い目つきで微笑みながらあちきに返答される人も結構いたのである。

○さて、その後、一気にショートにしてしまったのだが、ショートにしてから解った事がある。あちきの髪は癖がつきやすいのだ。しかも、一度付いた癖は、強力で先ず落ちないのだ。どうやら、髪が細いのにコシがあるのが原因らしい。しかも、一回根元で癖がついてしまえば、頑固なストレートの髪はそのまま明後日の方向に流れていくのだ。そして、それは夜まで続く。夜、髪を洗って、ドライヤーで乾かしても、上向きで寝ている間に、髪は左右に広がっていく。小姉に至っては「お嬢ちゃんはえすぱぁまみの様な髪型になってるよねぇ」と言い放ち、あちきを哀しみの底に沈めやがったりもした。例えるのであれば、せめて大人のキャラでお願いしまする。

○勿論、この可笑しな髪型に好きで甘んじている訳ではなく、あちきとしても色々な手段を講じているのである。例えば、
 ミントの水で髪が潤うスプレーを使う
 毛先までさらさらコートを使う
 朝、寝癖がすっきりフォームを使う。
 ジェルがさらさらの水になるウォーターを使う。
 ストレートコートを使う。
 きらきらストレートミストを使う。
 海洋深層水を使う。
などといった事をしているのだ。正確には薬局の売り場の端から寝癖直しを試したとも言えるけれど。

○ところが、折角買って来た寝癖直しも、明後日の方向に流れている頑固な寝癖には効かないのだ。逆に、
小さな寝癖と、寝癖の無いところだけが真直ぐになってしまい、数房の髪が明後日の方向に翻るという、さらに頓狂な見てくれになってしまうのである。う〜みゅみゅ、こりはいけねい。

○ともあれ、あちきも妙齢のレディである。何回も書く様だが「妙(たえ)なる年齢」である。決してあちきが「妙(みょう)齢(よわい)」な訳ではない。ご理解したまい、琴子嬢(仮名)。その妙齢のレディがびよんびよんと中途半端なアンテナを立てて、会社に出勤でもすれば、何て身だしなみに気をつけない女性なのだとセクハラ野郎にとんでもない台詞を吐かれ兼ねない。その様な事になれば、断固戦う所存であるが、斯様な戦いなど起こさないに越した事は無いのだ。

○そんな訳で、半ば諦め気味のびよんびよん状態であるが、その事を友人に言った所、「これをあげよう」と謎の液体をくれた。どうやら異国の地で作られているらしく、あちきには読解不能の文字がプラスティックボディに躍っている。一応、寝癖直しらしいのだが、どの様な成分が配合されているのか全く解らない。変な砂漠の虫や謎の深海魚や石油などのエキスが入っていなければ構わないのだが、それすらも解らない。見た目は透明なので、こりは思い切って使ってしまへ、と景気良く髪にぶちまいた。

○さするれば、何とあちきの頑固なびよんびよんが真直ぐになってしまったのだ。あんなにびよんびよんで、へろへろだった髪が、一気にさらさらストレートに。こんなにあっさりと問題解決してしまうとは、何やら恐ろしい成分でも含まれているのであろうか。流石舶来品、と驚嘆しつつ、日本の製品は自然に厳しい成分を配合しているくせに、こんな簡単な事も出来ないとはいかんです、と思ったりもした。

○そして現在、あちきの髪の毛は自由闊達にびよんびよんしている。何故ならば、貰った液体は数回分しかなかったからである。勿論、異国の解読不能の言葉をあちきが読める筈も無く、同じ製品を手に入れる事は先ず不可能であろう。スウェーデン、そりが友人の液体入手場所なのである。一生行かないかも知れないな、スウェーデン。何処にあるのだ、スウェーデン。日本の化粧品開発メーカーの方が、スウェーデンに行かれる事を願ってやまない。びよよ〜ん。

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