かすみ荘 - 雑文:要請と何度も変換するぞ、このパソコン
[もどりゅ]

204. 【tales of fairy】 (2002.07.17)



○清らかな乙女が異性と過ちを犯す事無く死ぬと、妖精になる。

○そんな衝撃的な事を知ったのは専門学生の時であった。衝撃的な事であるが、出典は某コミックスの柱であり、その柱を書いた漫画家の人も、どこで聞いたかは定かではないと言うような事を書いてあった。何処だかの言い伝えの話、らしい。ともかく、妖精というからには、ウェールズ地方ではないか。イギリス人の人などは妖精と写真を撮ったりした事もあるし、幽霊もばんばん出るという。イギリス、恐るべし。日本の幽霊、若しくは亡霊というものは、恨みがある相手に出るのではないか、あ、あと、ゆかりの地や大切にしていた物の近くに出る。そんで相手を脅かしたり、襲ったり、呪ったりと実にアクティブな行動をとるのであるが、イギリスの幽霊、亡霊はただただ佇んでいたり、歩いていたりするらしいではないか。うみゅう、随分と奥ゆかしい事である。

○実際の幽霊やら亡霊の思慮は判らないのでそれはさておいて、妖精になれるというのである。妖精、である。フェアリーというやつである。一般的に知られているイメージで言うと、ちっちゃくて、きらきら光る透明な羽が生えていて、飛んだりするのだ。しかも、簡単な魔法が使えるらしい。簡単というのはどの位のレベルかというと、妖精の住んでいる森に人が入って来た場合、その人間を道に迷わせる位ではないか。しかも、空を飛ぶ時にその羽を使わなくても飛べるらしい。普通、昆虫が飛ぶ場合、羽は地面に水平に配置され、それが八の字に高速稼動する事により浮力を得ているらしいのだが、妖精のそれは地面と垂直であり、ゆったりと動いているか止まっている事もある。にも関わらず、浮いている。恐らく、飛ぶ、という魔法が使えるに違いない。だったら羽、いらないじゃん、などと言ってはいけない。羽が無ければ妖精なのか、みにみに小人なのか分からなくなるではないか。もしかするとガリバートンネルをくぐったのび太かも知れない。

○こんな面白そうなものに自動的になれるのである。恐るべし、清らかなる乙女。古来日本では、清らかな乙女というものは大蛇の生贄になったり、建造物の人柱になったり、呪いを収める為の生贄にされたりと、命を不当に扱われてきたが、海の向こうでは妖精になってしまうのである。しかも、生前はユニコーンとお友達になれたり、戦士に祝福をしたりと大活躍。何やら差別の様な気もするが、あちきが生贄にされる訳ではないので、とりあえず気にしない事にする。

○さて、妖精になるという衝撃的事実(なのか?)を聞いたあちきとその友人は異様に盛り上がった。幸い、皆清らかな乙女であると自己申告していたので皆清らかであり、皆今死ねば妖精になる条件を満たしていたのである。しかしながら、あちき達には疑問があった。

○結婚している女性は清らかではないのか?

○異性と過ちを犯すと清らかでなくなる訳であるからして、結婚するという事は通常、異性との接触が生じる。しかしながら、配偶者を愛していて、その人だけを愛し、慈しみ、永遠の愛を誓いますか?を実践し、生涯を過ごした女性は清らかといえるのではないか。男女の過ちとは何処までを定義するのか。そんなあちき達の疑問を一歩引いて聞いていた小姉さんが一蹴した。
 「生涯一人の男性を愛した女性が死んだ場合、その相手と天国にいくんじゃないの」
うみゅ、正しい気がしゅる。
 「じゃあ、その人が騙されていたら?」
 「天使が迎えに来るんじゃないの」
 「何故天使?妖精になっても良いのでは?」
 「結婚するという事は、花嫁になるという事だよ。つまり、そんなふらふらした存在にはならないんじゃないかな。それにほら、子供とかいればそっちと幸せに暮らしたいと思うし」
 「にゃるほど」
 「子供か」
 「妖精、ふらふらしてるもんね」

○しかしながら未だ疑問は残っている。
 「じゃあ清らかな乙女のまま歳をとってしまったお婆さんはどうなるの?」
これも小姉さんが一蹴する。
 「年寄りでも妖精になれるよ。いるし、年寄りの妖精。子供とかを守ってくれるの。それにほら、死ぬと一番美しい時期に戻るともいうから、乙女時代に戻ってもおかしくないでしょ」
 「ほほう」
 「それなら妖精になってもおかしくない」

○では、清らかな青年や、清らかな少年、清らかな男性は何になるのであろうか。少なくとも妖精ではないと思う。自由な男の妖精は少ない様であるし。例えば妖精の王はオベロンであり、シェークスピアの戯曲、真夏の夜の夢に出てくる悪戯をする妖精はパックという。が、名前の無い自由な妖精の話はほとんど無い。女性の妖精は花の周りでひろひろ飛んでいるにも関わらず、男性の妖精が花の周りをひろひろ飛んでいたら違和感だらけである。羽の生えたちっこい男妖精。マッチョであればなお異様である。イギリスの庭園の中で清らかな少女を写した記念写真に写りこむ、羽の生えたむくつけき、マッチョな妖精。事によってはポージングまでしていた場合、その少女の将来を皆で心配してしまうかも知れない。

○という訳で、現在清らかな少年、青年、おじさま、お爺様が死んだ時、何になるか検討中である。また、清らかなオナベの方は何になるのか、清らかなミスターレディが何になるのかも気になるところである。謎は尽きない。

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