かすみ荘 - 雑文:にしても解らない
[もどりゅ]

205. 【一体どんな方法を・・・】 (2002.07.18)



○今日は朝から急いでいたのだ。何を急いでいたのかというと、ご不浄に行くのに急いでいたのだ。朝も早くから会社のご不浄に急いで行って何をしようとしたのかと言うと、単に下着のホックが外れてしまい、これはもうどきどきの状態になってしまったのでそれを直しに行ったのである。勿論、ご不浄といえば通常は用を足したり、人生について考えたりする場所でもあるし、あちきの父は若かりし頃、朝の新聞を読む所と定めていた。これについては、母が激しく反対し、わざとその新聞で父の食事の覆いなどを行って止めさせたというほろ苦い想い出がある。

○普段使っている会社のご不浄は個室が3個並んでいて、あちきのお気に入りはその真ん中である。真ん中は他の人には人気が無いらしく、紙も豊富にあるのだ。ところが、今日は手前のご不浄に入ったのである。相当心が焦っていたに違いない。急いで下着を直し、ふとトイレットペーパーのホルダーを見ると紙が無い。空しくペーパーの芯がぽつねんと存在するのみである。みゅみゅ、やはり端っこは危険な罠なのだ。ついでにご不浄本来の機能を使おうとすればこれである。あちきは過去に紙が無いという非常事態に遭遇し、殊更に情けない思いをした事があるので、真ん中に入ろうが端に入ろうが、先ず機能を行使する前にはペーパーチェックというくせが付いている。今日も危うく難を逃れたのだ。

○てとてとと個室を出て、お気に入りの真ん中の個室へ。やはり紙物資は潤沢にある。そう、本来はこうでなくてはいけない。大方、別の部署の女性が手を拭いたりするのにロールごと持っていったに違いない。何て事をするのだ、もきもきぃ。と、個室の中で馬鹿シュミレーションをしていると、ぎい、ばったんと隣の個室に入る音がした。あれ、もしかして手前に入りましたか、お隣の人?そうこうしていると、がさ、ぺり、という音がした。このがさぺりと言うのは、ムッシューの皆様には分からないやも知れませぬが、女性というものは時に衛生用品というものを使ったりするのでございます。その衛生用品というものは、大概一つずつパッケージされており、使用時にがさぺりと開けて使う事になるのでございます。つまり、がさぺり、の音がした時点で、隣の人はもうのっぴきならない状況になっているのでありまする。ええ、ええ。

○あちき自体はすでにご不浄機能を使っていたので、とりあえず個室を脱出して、中にいる人の救援を求める声に答えるべく、余っていた新品のロールペーパーを洗面台の上にちょこんと載せて手を洗う事に致しました。もしかすると隣の人は、携帯用の紙を持っているかも知れません。それなのに、「紙、無いですよね」などとほざいてみるのは大きなお世話やも知れないのだ。大体、ゆっくりと人生について考えている時に、無粋にも個室の外から「紙は要らんかー?」などと声をかけられては、大迷惑である。ので、大人しくしていたのでした。それに朝の歯磨きもしたかったし。

○すると、かたかたかた、と音がして、べりべりべり、と何か紙的な物を引っ剥ぐような音がしたのです。その後、手を洗っているあちきの後ろを悠然と通り過ぎ、手を洗って去る、魅惑のお年頃のまっだーむが。思わず、マダムが出て行ったあと、マダムが入っていた手前の個室を覗き込むあちき。別段さっきと比べて変化は・・・あった。というか、無い。さっき、あちきが見た、トイレットパーパーの芯が無い。ましゃかましゃか、アレを薄く剥いで使ったのか?いや、いくらなんでもそりはないのではないか?少なくとも隣の個室、それから外に出て行ったあちきという存在は個室の中からでも分かる筈。だとすれば、そんないやーんな物品を使おうとは思わないのではないか?それに、あんなものをどの様に使うのか?しかし芯の残骸は何処にも無い。もしかして流してしまったのか?だとするとご不浄、詰まるんじゃあ、いや、まて、まさか。

○あちきはドキドキしながら個室内の衛生ボックスを除いた。そして、そこに、何故か薄く剥がされたトイレットペーパーの芯を発見したのでありました。うみゅ、こりはこりは・・・。

○果たしてマダムは何の為にペーパーの芯を使ったのか?そしてどの様に使用したのか?それは外にいる赤の他人に助けを求める必要が無くなる様な技なのか?あちきはそっと衛生ボックスの蓋をしめ、仕事に戻るのでありまいた。

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