かすみ荘 - 雑文:悪運が付いていれば土壇場で何とかなるなりねぇ
[もどりゅ]

210. 【強運と悪運:悪運編】 (2002.08.20)



○夏である。かつてあちきの友人は「夏の風物詩は夏コミ、冬の風物詩は冬コミ」などととんでもない事を言っていたが、彼女にはお正月やお盆は無いのであろうか。そりとも、生まれてすぐに次のコミに参加し、死ぬまで、車椅子だろうがストレッチャーだろうが、どんな手段を使ってもコミに参加するのであろうか。むうむう。

○前回と同じオープニングである。何故ならば、コピーしたからだ。だって、同じ日にちの話しだし。むいむい。

○前日の夜中まで、正確には当日の朝まで、大騒ぎしていたあちきと違って、用意周到、表の顔は勤労サラリーマンの某ろりろり雑文書きの人は、前日の夜になる前に、夏コミの為の全ての準備を終わらせていた。荷物もきっちりまとめ、お金も用意、筆記用具、当日使うパソコンの充電もばっちりである。ぎりぎりまで大騒ぎしているあちきに対しては、夏休みの宿題を最終日にやっている小学生に向けるような、生あたたか〜い思いを抱いている様に感じられた。

○勿論、当日の出発も必要以上の時間的余裕を持っていた。持っていたのであるが、池袋で地下鉄に乗り換えた時に事件は起こった。
 「あれ?あっちの電車に新木場行きって書いてある!」
そう、雑文書きの人と、一緒にいらした某兎師匠は、逆向きの電車に乗っていたのである。行きたくないのか、会場へ?そりとも、読めないのか、電車の行き先を?いや、いくらなんでも成人した男性二人が、間違えるのはおかしい。恐らく、コミの発する何らかのエネルギィが、二人の行く手を阻んだのであろう。

○慌てて次の駅で降りて、逆方向の電車へ。この痛恨の一撃により、余裕でさくさく到着の筈が、約束の時間5分前にホーム滑り込みという不本意な結果になってしまったという。そこに、絶対間に合わない筈の人間が、ひょこひょこと現れたのだから、所詮悪運とは、最悪の事態からの脱出を避ける為などに発動するもの、などと思っていたとかいないとか。して、そのひょこひょこ現れた30分は間に合わない筈が2分だけ遅れで済んだ人物はたくさんの荷物を抱えていた。その人物といっても、あちきの事であり、話の流れから三人称で書いているが、どうやったらいつもの一人称になるのかちょっと困っている。えい、無理やり変えちゃえ。

○雑文書きの人は、微妙に納得のいかない思いを抱えつつも、あちきの荷物に手を伸ばした。
 「漏れの荷物は少ないから持ってあげるよ」
あちきとしては、コスプレ衣装は自分の荷物としても、食料を大幅に摂取さりるのは持ってくれてしまわれる人なので、持っていただくのではなく、持ってくれたまいなのであるが、波風を立ててもアレなので、「ありがとうでする」などと微笑んでみた。にしても、キャリーバッグ一つとは、随分シンプルな・・・。
 「あ!」
 「どうしました?」
 「鞄、背中に背負っていたやつ。網棚に忘れた!」
忘れちゃったのである。夕べ、忘れ物チェックまでして詰めたパソコン、お釣りの小銭、銀行のカードまで入っている、うすら汚れたバッグは、一人寂しく新木場(電車の終点駅だ)に旅立ってしまったのである。

○慌てて駅員さんの詰め所でバッグを取り戻すべく駅員さんに訴える。この時、クレジットカードが入っていると聞かされた駅員さんが一番運が悪かったのではないか。あちきは見つかると根拠は無いけれど確信していたし、一緒にいらした某兎師匠は結果がどうなるか達観していらしたし、雑文書きの人はなる様になっちゃえとやや投げやりであった様に見えた。
 「新木場駅ではそれらしい鞄はありませんね」
駅員さんが悲しそうな顔で教えてくれる。大体、鞄の特徴を、青い鞄だけれど薄汚れて灰色のやつで、背負えるけれど、リュックではないやつ、パソコンが入っていて重い、などと三人でわあわあやったのだから、朝から迷惑であろう。みゅみゅ。しかも、その中にはコミで販売をする為の入場証も入っているのである。そりが無ければ、早い時間に入って、さくっと着替える事が出来ない・・・じゃなかった、売り子さんのお手伝いが出来ない。いや、でも見つかるね、見つかるとも。根拠は無いけれど。
 「ありました!新木場にありますので取りに行って下さい!」
売る人会場時間にぎりぎり間に合わない時間に鞄は発見され、あちきの根拠の無い自信はとりあえずカバーされた。
 「入れないかも」
 「入れるなり。ちゃんと遅れるサークルの為に入り口があるなりよ」
あちきは楽天的であった。実際入れたし。

○急いで地下鉄に乗り込む。が、何を血迷ったか雑文書きの人が月島で途中下車をしようとする。一瞬つられるが、制止するあちきと兎師匠。どうやら、心の底ではコミに行きたくないらしい。もんじゃの町に骨を埋めたいらしい。うみゅみゅ、前に失敗した、爽やか好青年キャンペーン復活か?だとすればみちみちとキャリーに詰まったエチィゲィムを何とかせねばならないのではないか?

○その後、入場時間を15分ほどオーバーし、何とか開店準備を行ったのであるが、凍らせたお茶のペットボトルを置いて、さっさとあちきがコスプレ更衣室に遁走したのは書くまでも無い事実である。あちきがあちこち放浪の後、売り場に戻ると、呆けた様な爽やか?好青年?が、あちきのお茶をしっかり開封して飲んでいたのである。実の所、あちきはコスプレのまんまレストランでレモンスカッシュを飲んでいたので、そりを責める筋合いは無いのであるが、一応責めておかねばなるまいと思い、びゅびゅびゅびゅびゅ、と威嚇しておいたのである。勿論、フォローとしてお弁当を無理やり食べさせたのであるが、どうやら、食料調達の事は念頭に無かったらしく、事によってはふらふらと何も食べずに一日過ごすつもりだったらしい。

○にしても、いっその事、無い方が良いかも知れない、悪運って。

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