かすみ荘 - 雑文:エレベーターは釣瓶式で小人さんが・・・
[もどりゅ]

227. 【働く小人さん】 (2002.10.21)



○エスカレーターには小人さんが住んでいる。

○先日、某雑文書きの人が書かれたエスカレーター云々の話を振られ、その不便な所をいくつか聞いたのだけれど、そのうち余りにも可哀想になってしまい、これからは彼らの事を心に留め置きつつ、エスカレーターを利用しようと思った次第である。彼らとは誰かというと、勿論小人さん達である。エスカレーターを論じて可哀想であるという感想が出るのは、当然の帰結といえよう。何故なら、先にもあげたようにエスカレータに小人さんが住んでいるという事は暗黙の事実であるからだ。

○エスカレーターはステップと呼ばれる段を配置した、ベルトコンベアー状の様にして設置されている。勿論、あちきはエスカレーター評論家でも、エスカレーター技術者でも、エスカレーター普及振興会の会員でもないので詳しくエスカレーターの形状についてはわからないのだけれど、点検中のエスカレーターを見るに、大体その様なものではないかと感じている。

○エスカレーター使用者は、一番初めのステップに搭乗する事により、自動的かつスムーズにかのエスカレーターの上端、若しくは下端に到達するのである。これはひとえに小人さんの目に見えない頑張りによって成される偉業である。貴方が上方に向かうエスカレーターに乗ったと仮定しよう。上方は嫌だといわれても、仮定なので関知しない。上方は嫌にょ、と言われたら少しだけ考える。上方は嫌なリ、びゅびゅびゅびゅびゅ、といったらば、それはあちき系なので仲良くしたい。まあ、ともかくそれは置いておいて、上方のエスカレーターに乗ったと仮定する。すると、するすると貴方の体は上方に運ばれ、数秒後にはエレベーターの最上部に到達、その勢いで転ぶ前にエスカレーターから降りなくてはならない。その貴方を上方に運ぶエネルギー、それを生み出しているのが小人さんなのである。

○貴方が乗ったエスカレータは最上部でするすると収納されている。その収納されたステップ部分は乗車する部分の真下を通り、最下部の部分からするすると表面に現れ、新たなる乗車人を乗せるのだ。その、通常は見えない真下の部分、其処が小人さん達の仕事場なのだ。彼らはエスカレーターを上方に動かすエネルギーを生み出す為に、その場で延々と階段を登るアクションを続けているのである。小人さん達は目の前にあるステップによいとこしょ、と上がる。すると本人達は上に上がる事は無く、ひとステップ分が後ろに送り出される。当然最下部のステップ排出部に新しいステップが現れる。同時に最上部のステップが小人さんエリアに収納される。これにより貴方はステップ一つ分、上方に上がる事が出来る。この人知れず働く小人さん達の事を思うと、涙で視界が歪んでしまう。

○さて、そんな労働を気持ちよくやってくれる小人さんであるが、その苦労も知らないで過酷な労働を強いる人達がたくさんいる事を上げなくてはならない。彼らはエスカレーター上を歩くのである。現在、首都圏ではエスカレーターに二列で搭乗出来るという事を逆手に取り、半分から左の列はおとなしく終点に到着するのを待つ者が搭乗し、右側では普通の階段を移動るが如く、だかだかと移動し終点を目指すのである。ステップを登る、若しくは降りるという行動を取ればその分ステップにかかる力は増加する。これは、算数すら満足に出来ないあちきですらわかる事実であるから、懸命な駄目文読者の皆々様にはさくっとご理解いただけると思う。ステップにより多くの力がかかるという事は、より多くの力を小人さんに求める事に他ならない。エスカレーターを歩く暴徒の下で、一生懸命ステップを上がる小人さん。これを悲哀といわずに何と言えば良いのか、あちきには想像もつかない。

○しかしながら、この小人さん説に真っ向から異説を唱える人物がいたりする。蘭華小姉であるが、小姉曰く「エスカレーターは電気で動いている。小人など入っていない。それ以前に小人が存在しない」らしい。実に夢の無い話である。貴女はエスカレーターの下から聞こえる小人さんの声が聞こえ無いのか?というと「それはデムパだ」と言い出した。むう、失礼な、びゅびゅびゅびゅびゅ。小人さんは恥ずかしがりやさんなので、エレベーター点検中に確認する事は出来ない。だから、小人さんを信じない人に小人さんの証明をする事は出来ない。けれど、小人さんは今日も一生懸命ステップを登ったり降りたりしている。あちきはそんな小人さんに敬意を払いつつ、本日も乗換駅のエスカレーターを歩いて降りまいた・・・、駄目だってば、あちきよ。

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