かすみ荘 - 雑文:味が好きで食べてます
[もどりゅ]

228. 【あちき、食べる人】 (2002.10.23)



○世の中の人間はちょっと無理をすれば、すぱっと二つに分ける事が出来る。メロンが食べられる人と、食べられない人。納豆が食べられる人と、食べられない人。木星の衛星4個を言える人と、言えない人。アンドロメダ星雲を征服している人と、していない人。ちなみに、あちきの場合、メロンは大好きであるが、納豆は食品と認めていない。木星の衛星は、エウロパ、カリスト、イオ、ガニメデで正解。アンドロメダ星雲は先日まで征服していると言い張っていた(だって今まで銀河征服しるとか言う人はいたけど、アンドロメダ星雲は狙っている人はいなかった。ゆったもんがち。但し君臨はしたが統治は出来ない)が、髪の毛座星雲と交換してしまったので征服していない。

○その二つの法則でいうと「人間には、お味噌汁のシジミを食べられる人と、残す人がいる」といえる。さらに小分類も出来る。自宅などゆっくり食べられる所では食べられるけれど、外では食べられない。箸の先が尖っていて取り易ければ食べられるけれど、割り箸では食べられない。どうあろうと、意地でも食べられる。そんなもんは出汁だ、出汁、食わない。などなどなど。そしてあちきは潔いチームに属する、そう、シジミは食べられるし、何処であろうと親の仇の様に付狙い逃がさない。例え得物が割り箸であろうとも、小手先の技術と底知れない執念でシジミを食べ尽くすのであったりする。

○シジミである。体に良いのである。かつて、午後思いっきりな番組で、奥様のハートを鷲掴みにする男、ミノ・モンタンがゆっていたのだから、事実であるに違いない。シジミエキスを体内に取り込めば、肝臓の働きが良くなるという。肝臓はアルコールを何かに分解するんだったと記憶しているが、ともかく、百薬の長である御酒(ごしゅ)をきこしめす方には大変有効な成分を含んでいるそうな。御酒は大変体に良いが、大量に摂取すると分解が追いつかず、体の中であれこれ悪さをするらしい。例えば、肝臓を悪くするとか、肝臓を悪くするとか、肝臓を悪くするとか、まあ、そんな感じである。日本人は体質的にアルコールを分解する酵素が少ない傾向にあるらしい。人によっては酵素が無いという話も聞くので、別に飲めなければ飲まなくてもいいやん、とか思っていたりするけれども、とにかくきこしめる方には良いのだ、良いのだ、良いのだ。

○と主張しつつ、必死に割り箸でシジミを貝殻から引っ剥がしていると、
 「でもさ、お嬢ちゃん。お嬢ちゃんお酒飲まないじゃん」
と、友人麻美嬢がのたまった。あちき達が集っていたのは某チェーン店の居酒屋である。あちきが合流後、最初に頼んだものがお気に召さなかったらしい。焼きビーフンとウーロン茶、そしてシジミの味噌汁であったが、どの辺りがお気に召さなかったはどうも理解不能である。
 「うみゅ、そうであるが、内臓臓器を大切にして損はありませぬるから、おけ」
 「何がおけ、よ。こちとら久保田様を飲んでるんだから、お嬢ちゃんも酒が美味くなるようなものを食え」
 「いやにゅ。下戸下戸だもん。飲めない人に御酒を進めるのは人として間違っているにゅん」
 「そうよそうよ」
と、ぺるぺるに酔っ払った友人、葉月ちゃんが声を出した。
 「下戸にやる酒があるくらいだったら、あたしが美味しく頂くね。お嬢ちゃんなんぞほっとくがよろしかろ」
むう、仲間はずれにされていないか、あちきよ。でもま、よし。この人達はここから面白くなるのだから。
 「いんや、せっかくだからお嬢ちゃんも飲め。お勧めはライチだ、ライチを飲め」
 「飲んでまするよ、茶を」
 「茶なんぞ××人が飲むものだ!」
 「麻美ちゃん、それは思い込みよ。その思い込みが眼鏡をかけてちびなイエローモンキーを!」

○実に良い感じに酔っ払っている麻美嬢。そして、良い感じに出来上がっている葉月嬢。このうち麻美嬢はそれはもう恐ろしい特技を持っている。酔っ払うと物事の正確な判断がつかなくなるくせに、ちゃんと家には帰り着き、その時の記憶は無く、しかも何故か二日酔いをしないのだという。その麻美嬢に実験をしかける事にしてみた。味噌汁の汁をコップにこそりと注ぎ込み、
 「麻美先生、こりを飲んでみて下せい」
 「む?茶色いよ」
 「こりはですね、あちきがこそっと飲んでいる、味噌焼酎です」
そんなものはねぇ!あちきの心の中の小人さんが高速で突っ込む。もしも、麻美嬢に突っ込まれた場合、さくっと撤収するつもりではあったのだ、が、
 「味噌焼酎〜?健康っぽそうなもん飲んでるね」
後ろで葉月嬢が激しく笑っておられるが、気にしない事にする。どちらにしても、葉月嬢は記憶を失わない強者として有名であるから、あちきの実験は筒抜けである。
 「飲め、麻美!お嬢ちゃんに負けるな」
 「了解だ」
麻美嬢はごきゅごきゅと味噌焼酎、様は単なる味噌汁を飲み干した。
 「美味しい?」
 「うー。味噌〜って感じ」
でしょうな。葉月嬢が机を叩いて笑っている。

○翌日、麻美嬢に電話をして、その後のお加減は如何かと聞いた所、
 「いつもの様にすっきりしている」
という事であった。やはり、二日酔いをする人に飲ませるべきであったかと思っていると、
 「でもさ、なーんか珍しくお腹空いて無いんだよね。いつも飲んだ次の日は空腹で目が覚めるんだけどさ。あたし、何かたくさん食べてた?」
にゅう〜?謎の症状が。
 「いつも通りだと思いまするが」
 「そっかー、てっきりお嬢ちゃんにつられて、飯でも食ってたかと思ってさ」

○結論、シジミは何かを起こす。その何かが何かはわからない。二日酔いになる人、実験台になって下さい。

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