かすみ荘 - 雑文:作るたびに皆不思議な顔を
[もどりゅ]

238. 【深遠なりスパイスの世界】 (2002.12.18)



○先日、某秘密基地で行われたネットラジオにゲストで参加させていただいた際に、秘密スパイ様お手製カレーをご馳走になった。が、失礼極まりない事に、あちきはそのカレーをそのまま食べる事、あたわざるなり、であったのだ。一言で言うと辛い。それ以上でもそれ以下でもない。味はわかる。非常に美味しい、が、口の中の粘膜が受け付けないのだ。火傷をしたかのように痛くなってきた。くう!

○涙を浮かべつつ、カレーを食すあちきに、麗しき秘密スパイ様はこう言った。「生卵を入れるがよい、よい、ょぃ、ょぃ<エコー」と。その時、在席していた自称雑分界の古老様は興味深そうな顔をし、爽やか会社員様は御酒をお召しになって全く無関心であり、あかずきんちゃんカンパニーの好青年社長は驚愕の表情を浮かべられた。が、あちきは気にせず生卵を器でげしげしとかき混ぜ、カレーに投入した。そして、そのカレーをがしゅがしゅとかき混ぜ、温度も下がってまろやかになった生卵入りカレーを賞味したのである。その後、ラジオの放送を担当したせいで、カレーの器にスプーンとフォークをつっこんだまま、小二時間ほど放置した結果、冷え冷え生卵入りカレーに変貌し、それを美味しいという者は万死に値するといった目を社長から向けられつつも、全部食べたのだ。皆は食べる事は罰ゲームといっていたが、本当に美味しかったにゅ。

○兎も角、カレーというか、インドのカリーは大好きなのである。何が悪いかといえば、辛いのがいけない。つまり、カレーの風味を殺さずに、辛くなければ辛いのが駄目なあちきにとっての福音になるのである。その為には、己の力でカレーを作成せねばならない。求めよ、さらば与えられん。与えられるまで待っているほど横着をしてはいけない。己で作ればいいのだ。そう思って過去に友達の家の台所を借り、作った事がある。以下、その時の作業。

○カレーの基本は玉葱を炒めるところにあると思われる。てててと切った玉葱をバターで炒める。本を読みながら、飽きるほど炒める。其処に水とローリエを投入、鶏肉も入れちゃう。鶏肉は骨付きがいいらしいので、景気良くたーんとほりこむ。それからクミン、コリアンダー、粒コショウなどをほりこむ。みゅ、中々よろしげな状態に。もきゅきゅきゅきゅv<喜び。そして、カレーといえばガラムマサラであろう。これ、これでもう八割がた勝ったも同然である。しかし、ここで油断をして大量に入れ込むと大変なことになる。がらむまさらとはインドの言葉で、辛い混ぜたやつ、という意味がある。つまり、これをたくさん入れると罠にかかるのだ。あちきが求めているのは、あっさりさっぱり、さらさらカリーであるからして、ちょろっとで、いいのだちょろっと。こういうスパイスは本当に少量でもヤヴァイ事になるので、小指のつめの先ほどもいれない。ちっと入れるだけである。さて、これでは風味が足りないので、本来のガラムマサラに入っている、シナモンとクローブを別途追加する。これであちきの目指すカレーにあといっぽである。最後の一歩は練乳(コンデンスミルク)と言いたいところであるが、ここで練乳を入れてしまっては、いつもの甘い人様に殴られるカレーになってしまうので、入れない。その代わりココナッツミルクを投入。そしてさらに煮込む。

○煮込んだスパイス類を引き上げ、器にに入れる。素晴らしい、素晴らしいぞ、あちきよ。これこそ、辛いのが駄目なフラターやソロールにも食べられる、究極のカレーである。さあ、実食せよ!口に入れるとスパイスの芳香が広がり、鶏肉はほろりっと崩れる。ああ、やった、やったよ、北斗真君!これなら誰にだって食べられるカレーだよ!折角なので、名前もつけりゅ!題して、横浜スパイスカリー!早速皆にも食べていただこう!

○が、友人の反応は不思議なものであった。食べた瞬間、物凄く不思議そうな顔をするのだ。はくりっと食べた後、え?といった表情を浮かべ、もう一口、確認するかのようにはくりっと食べる。何故何故?横浜スパイスカレーは美味しいのに。
 「お嬢ちゃん、これ、唐辛子入ってる?」
 「ガラムマサラを入れました〜」
 「どれくらい?」
 「小指のつめの先ほど〜」
 「他に辛い香辛料は?」
 「入れてません〜」
 「これさ、スープじゃん」
 「違う!横浜スパイスカレー」
 「予想だにしない味がした」

○横浜スパイスカレー、それは辛いのが苦手な者にとって福音的な食べ物であるが、カレーは辛いという固定観念に囚われた者に取っては、スパイスの効いたスープに過ぎない。固定観念、それは人の心を縛り、折角の新しき出会いを灰塵に帰してしまう哀しいもの。そう思い、折を見て、隙を見てこの食べ物を紹介しているが、いまだ同意者は現れない。みゅう〜。それにしても、どうして皆、カレーというものは辛いと思ってしまうのか、謎ですにゅ〜ん。

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