かすみ荘 - 雑文:ゲーム内の幸せを嫉んでいる訳じゃ無いにょ
[もどりゅ]

240. 【暗殺者である為に】 (2002.12.20)



○結婚してくれ!あちきはその記述を見たとたん、頬杖の上に載せていた頭をがくんと落っことした。

○雑文界で知り合った、可愛らしい日記サイト(?)運営者の仮名ぴころんさんの日記である。そのまま受け取れば、可愛らしいぴころんさんがプロポーズを受けている様に見受けられるが、それは現実の話ではない。ゲームの中の話なのだ。ぴころんさんはラグナロク(以下ラグナ)なるインターネットゲームをなさっている。それを日々、日記としてつづられておられるのだが、このラグナ、RPGらしいのであるが、どうもクエストよりもプレイヤーの交流に接点を置いているらしい。

○日記を見ると、プロポーズしてきた相手は仮名ひまわりさんというらしい。彼のゲーム内での職業はアサシン、アサッシンとも表現される暗殺者である。正気か、おい、アサシンだよ、アサシン。暗殺者といったらお天道様の日の光の中をほけほけとデートなんぞ出来る職業ではない。木の上あたりからターゲットを狙い、笑い声はクククとかフフフでなくてはいけない。本名を明かすのは、ターゲットが死に逝く時だ。「我が名を冥土の土産とするがいい」ぼしゅ!<止めの音。といったところだ。それが、それがだ、お花の上に二人で座ってプロポーズだぁ!?

○この頭に何かが湧いているとしか思えないアサシン、ラグナの世界では常識らしい。皆頭の中に、何かヤヴァイものが湧いていて、正常なアサシンとしての行動をしていないのだ。ぴころんさんの日記を読むたびに思う。アサシン達は日々、腕を磨き、怪物と戦い、彼女もしくは妻を守ったり、マップの片隅で愛を囁いたり、アイテムをプレゼントしたり、あまつさえベェゼをかましたりするらしい。びゅびゅびゅびゅびゅ!あちきは許しませんにょ!まあ、あちきが許そうが許すまいが関係無いのだろうけれども。

○ともあれ、愛という恐ろしいものに取り付かれたラグナのアサシンの人々。そんなふうになってはいけない。アサシンとはかくあるべきだというポイントを押さえていきたいと思う。以下を実践すれば、素敵なアサシンになれるであろう。あちき美学のアサシンですが。

?目立たなくて動きやすい服装をする:暗殺者がローブデコルテなどを着ていたら動きにくいわ、目立つわ、逃走の邪魔だわでサイアクである。但し、例外として、鹿鳴館に忍び込んだりする時はローブデコルテ推奨。但し、仮面を忘れてはいけないし、一気に脱げるドレスでなくてはいけない。

?武器は小型のものを使用:短刀、ブラックジャック、ロープ、毒などがアサシン向き。但し、依頼者の意向があればそれを尊守する。少なくとも薙刀、クロームジャベリン、バトルアックス、散弾銃、レーザーブレードは向いていない。また、スナイパーであれば銃も使用可能であるが、アサシンはもっと原始的なものだ。己の肉体の能力を駆使して小型武器、ないし必殺の格闘の一撃で殺せ。

?笑う時は含み笑い:明朗快活に笑うのは、アサシンには似合わない。任務遂行時など、マスクの下から唇だけ見せ、クククと笑うと効果絶大である。このとき、唇が真っ赤だと臨場感が増す。また、任務遂行後大笑いするのは依頼者の仕事である。

?関係者を作らない:恋人、妻など論外である。血の繋がった親兄弟でも眉ひとつ動かさずに殺せるくらいでないといけない、いや、むしろ自分で手にかけろ。愛情は弱点に通じるのである。ペットも禁止であるが、空気の有無を調べるカナリアや、秘密通信に使う小動物は可。

?常に現金商売をする:殺しの対価をカード決済などする訳に行かない。その為、全ての取引は現金だ。しかし、それでは持ち運びずらい。それを解消するには、価値があり、多少の変動はするがなくならないもの、金に交換すべきである。この時、ファミリー金証書などを信用してはいけない。

?人を信じてはいけない:人は常に裏切るものだ。貴方に近づいてきた相手は、依頼主のライヴァルに雇われたアサシンかも知れない。出される飲食物にも注意が必要だ。一口目はコッソリ誰かに食べさせてもいい。それで誰かが死んだとしても、それは不幸な事故に過ぎない。向こうがこちらを信用している様であれば、これ幸いに利用すべきだ。

?体力をつける:30メートル走っただけで、具合が悪くなるどこぞのOLの様ではターゲットの命は取れない。瞬発力、反射神経、持久力、ありとあらゆる身体機能を要求される。思い切ってサーカスに入るのもいい。あちこちを移動するので足取りも辿られ難い。但し、表に出る仕事は駄目だ。ライオンの世話やセットの組み立てなど行う。

?細身でいる:太っているの人に機敏な動きを望むのはあまり好ましくない。それ以前に、30センチx30センチの窓を100kg以上体重のある人間が抜けるというのはかなり無理がある。軽量化が大切なのだ。すらっとスリムな貴方が、月光を背に、犠牲者のベッドの傍らにしゅたりと天井裏から飛び降りるというイメージをしていただければ、細身が物凄く大切だとわかっていただけると思う。

?表の顔を作れ:にこやかで社交的な表の顔を作らなくてはいけない。満員電車で足を踏まれた時に、ぶっころすぞババアなどとは間違ってもいってはいけない。社会的には貴方と言う存在は、没個性な印象に残りにくい人間でなくてはいけないのだ。ババアは心の底で思えば良いし、やっぱり殺した方がいいと思えば、あとでこっそり忍び込んで殺せばいい。

○ここまで来れば後はもう依頼を待つばかりである。貴方の得意な武器を丁寧に手入れして待つのだ。肉体も日々鍛錬だ。勿論、アサシンとしての実績が無ければ、依頼者も現れないので、適当に有名で貴方が嫌だと思う奴を抹殺して待つといい。

○最後に、アサシンとしての死に様がある。最後にちょっといい事をして死ぬのと、殺されるのとだ。しかしながら、それも全て秘密裏に行われなくてはならない。爆薬を仕込み木っ端微塵、などというのは好ましくない。町の平和の為に、誰も知らない所でひっそり死ぬのだ。しかし、そこに無名の墓碑がたってこそ、意味がある。その為、もうすぐ死ぬというとき、貴方はそれを見極め、たった一人でいいから石を置き、花を手向けてくれる人を見つけるべきだ。

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