かすみ荘 - 雑文:日々、知人にまで恐がられています
[もどりゅ]

255. 【不信人物として】 (2003.03.28)



○今年も春になった。去年の今頃もこうだったので、来年の今頃もこうなんだと思う。寒暖の差はあるだろうけれど、春である事に違いあるまいまい。梅は咲くし、春椿は咲くし、日々ぬくくなっていく方向だ。きっとぼやっとしているうちに暑くなって、天が高くなったら冷え冷えとしてくるんだろう。恒例の行事である<行事ではありません。

○という訳で、春になったので草木が芽吹くと共に、あちきの身体に異常が発生する。異常と言ってもただの花粉アレルギー、いわゆる花粉症である。どうも今年は特に目に異常が発生し、毎晩白目の部分がぶよんぶよんとする。そのまま楊枝でもぷちさしてみたらば、くずきりかアロエゼリーにでも見えそうだが、実際にぷちさしたら即眼科行きであろうし、そんな痛そうな事したくない。勿論、目がかゆかゆでぶよぶよで痛い痛いの上に、鼻にも多大なるダメージを受けている。ぐずぐず。内部粘膜をやられていて、痛いし痒いし出血もする。いつにもまして頭がぼ〜っとすりゅ。良く「杉の木を切り倒せ!」と憤慨なさる方を見かけるが、あちきはそうは思わない。だるくて面倒なのだ。切り倒すには、斧を振るわねばなるまいまい。あちきは手弱女なので、斧など持てない。第一、箸ですら取り落とす始末だ<ぼ〜っとして。それに神奈川県民として、箱根の杉の並木が無くなるというのはちょっとよろしくない。それに、箱根八里の歌も歌えなくなってしまう。ひ〜るなお暗き、すぅぎぃの並木〜なのだから、なのだから。

○昨年は確か、匿名雑文祭という企画があり、書き出しが「花粉症ではなが」という決まりがあって、文中に「好き、大好き、アレルギー」と入れるという縛りがあったかと記憶しているが、この状態で「好きにゅ、大好きぃ、あれるぎぃ♪」などとほざくようになっては、人として間違っている気がする。実際、雑文祭に参加しようと思いつつも、途中まで自分で書いた文章を読んで、くしゃみが止まらなくなり、目が痒くなってしまったので、かゆかゆのあまりにテキストを消去してしまったのでするよ、むうむう。

○とはいえ、そんな非道い症状でありながらもあちきは企業に勤める労働者である。労働力を売って、糊口をしのいでいるのである。いや、しのいではいないな。年金生活の両親にパラサイトしている。・・・・・・。いや、この際、瑣末な事に目を向けではいけない。この花粉地獄により疲弊する中、さらにアレルギー体質は激しく臨戦モードとなり、子供の頃からのお付き合いであるアトピー性皮膚炎も猛威を振るっている。持病の喘息がアレルギーでなく、肺からのものである事を感謝するべきなのかも知れない。そんなアレルギーの反応に苦しみつつも、労働者としての責任を果たすべく、会社に通っては仕事をしているのだ、のだ、のだ。

○さて、仕事は対価を貰う為の作業だから仕方ないとして、あ、それに日本国民には勤労の義務という決まりがあったしね。勤労ですよ。勤労感謝の日の勤労。すべからく日本国民は、何かしらの勤務労働をしなくてはならないのですよ。無論、育児や家事も勤務労働なのであるし、子供は勤労の前に修学の義務があるのだ。とっしょりは勤労してきたので、各自の資産に合わせて勤労しなくてもいいし、してもいい。で、あちきといえば、家事手伝いをするほどのお嬢様ではない、妙齢の女性なので、働かなくてはいけない立場である事を認識している。偉いぞ、あちき<普通です。

○こうして平日は毎日の様に会社に行き、仕事を終えて帰宅するのだけれど、この季節、外を歩くだけで目がかゆかゆで痛い痛いで、鼻がかゆかゆで痛い痛いでみずっぱなが出てくる訳だから、普通におんもに出ていく訳には行かない。思いっきり大げさに例えれば、泳げない人が360度水平線の見える船上から浮き輪も何もなしに、身一つで突き落とされるようなものである。死ぬね、死ぬ、死ぬ。思いっきり死ぬ。あちきは死にはしないが、身一つでおんもにでれば、泣きながらタオルで顔を押さえ、ふらふらと薬局に行く羽目になる事請け合いである。

○ので、何処に行くのも重装備である。帽子、眼鏡(元々視力も悪い。花粉の季節はコンタクトは痛くて入れられない)、マスク、手袋を身につけ、首周りもストールで保護したりする。肌を出すと、アトピーも元気良く己を主張するので、足もパンツで保護する。露出している部分と言えば、耳と頬の一部だけである。帽子を目深に被るものだから、おでこも隠れてしまうのだ。マスクのせいで少々息が苦しくなり、したがって呼吸も荒くなる。どうみても不信人物にしか見えない。

○斯様な格好も、花粉症が世に広まるに連れ、警戒されたりはしなくなっているし、だいたい会社のゲートも身分証明書さえ見せればパスである。警備員さんは、この不信人物と身分証明書の写真をどうやって比べているのであろうか。大きな写真がついた身分証明書でも、比べなかったら何もならないではないか。いや、マスクはずせと言われても、苦しいから嫌ですが。

○そんな感じで不信人物ライフをエンジョイしているあちきである。たまに、子供に恐がられたりしているが、子供の恐怖より、アレルギー軽減の方が重大課題なのだ。などと思っていた、の、でつ、が、夜、ちょっと買い物に行く為に、愛車のMTBアンゴルモアちゃん号にまたがって、颯爽と夜の街に飛び出し、視界の悪さから、時々車にはねられそうになりつつも、買い物クエストを達成し、愛車を止めていた街路樹(MTBはちゃんと自立しないものが多い)から外していると、何故かパトロール中の警察官に呼び止められてしまった。どうやら、花粉症のふりをした自転車泥棒が出ているらしい。名前と住所と電話番号を聞かれ、もあちゃん号に名前を書いていない事を注意され、盗難防止にちゃんと名前をMTBに書けと言われてしまった。

○う〜みゅみゅ、流石に、MTBに名前を書くなどという恥ずかしい真似はしたくないので、未だに名前は未記入であるが、夜間の外出は疑いを招くと言う事を知った今日この頃。早いところ花粉の時期が終わらないかなと、切に願ったりしている。

〇雑文のTOPへ〇

前へ雑文のトップへ次へ