かすみ荘 - 雑文:にしても、何でピンクに塗ったのか
[もどりゅ]

259. 【比較検討でいえ〜いえ〜】 (2003.05.13)



○という訳で、集合住宅が嫌いであると言うわがままを押し通したあちき。人間言ってみるものである。貸家でもぼろ中古でもいいから一戸建てという主張がまかり通り、某リハウスさんに向かったのである。多少懐に余裕のある状態での人というものは、大概が新品と中古を見せられた時、ちょっとの差だったら新品がいいなあと思う傾向があり、また、自分が所有しているものと、人様に毎月延々とお金を払ってもやっぱり人様のものであったりするのでは、自分のものになった方がいいと思うものであろお。リハウスを訪れた時点で、あちきは自分の勝利を確信した、が、それは早計だったのである。

○あちきの隣で出されたお茶を遠慮も何もなく、さくさくと飲み干し、さらにおかわりを頂きつつ、物件情報に目を通していた某雑文書きの人がこれこれと抜き出したのは、駅から徒歩五分、駐車場つき、リフォーム済みの築30年超え格安物件であった。築30年と言えば、30年前の技術で建築された木造モルタルというやつであろお。う〜みゅ、実物を見るのが怖いのですが。ところが、お買い得とか、半額とか、100円義引きに反応し、普段食べる米は政府調達備蓄米たくわえくんというしっかりさん、悪く言うと貧乏性の雑文書きの人はその物件に心を奪われていたのである。

○険悪な目つきになるあちきに気がつかず、中古物件の説明を熱心に聞く雑文書きの人。流石に中古実物を見ない訳にはその熱意を突き崩す事は出来そうも無い。ご不満なあちきはその他にリハウスさんお勧めの新築物件を紹介してもらい、我々はお家見学行脚に出かけたのであった。

○確かにそれは駅から5分の距離であった。公立小学校が目の前で、野良にゃんこもいっぱいいて、公園もすぐである。が、
「ほらほら、ベランダが斜めになってるって」
「でも、今修理してるよ」
「いや、もう、これはだめですにょ。建て直しがいりますにょ。今買っても20年もしないうちにまるまる建て直しですにょ。昔の建築ぎじつは駄目ですにゅ。大体車庫がせまいにゅ〜、軽自動車もやっばーいにゅ〜、貴方のどらいびんてくにくは極みでつか?」
「う〜ん、確かに定年までもちそうもないな」
「でげしょ?立て替えたら住宅ローンの他に立替ローンも同時に支払う事になるにゅ」
あちきの心からの説得に新築へ心が動いたらしく、うむうむと頷く雑文書きの人。素晴らしい、素晴らしいぞ、あちき!

○次の見学先は新築4軒まとめてである。ちまっとした家が積み木のように4軒くっついていた。個人的にはここがお気に入りである。スーパーとかが近距離に無いが、自転車に乗れば問題ないし、何と言っても住宅地のぴかぴか新築である。そのうちスーパーも出来る、と思いたい。しかも、おうちはまだ作業中のほんっとおの新築である。が、雑文書きの人はちょっと値段が高めだと渋っている。むむ、危うし、ぴかぴかお家。とはいえ、もう一軒見学すると言うのでそのお家を見てから騒ぐ事にする。駅から平坦な道を15分のお家さん達、あちきは皆の味方なりよ〜。

○てぽ、てぽ、、、て、、、ぽ、、、て、、、。
「うううううう」
あちきは喉の奥から声を絞り出した。その場にぺたしと座り込み、心の中の思いを表現する。が、雑文書きの人はけろっとした顔で怪訝そうにあちきをみやった。く!
「どしたの?」
「もう、だめぽ。もう動けない。ここで死ぬ」
坂の上、見晴らし最高と確かに書いてあったが、その坂が心臓破りとは思わなかった。急勾配の坂は殺人的であり、地元の足腰の弱ったお年寄りや、未発達のじゃりがき様が転げ落ちる事故が毎日おきているとしか思えない。急勾配は長く続き、その後さらに階段が目の前に現れた時は、このまま逆走して足をとられ転げ落ちるのと、志半ばで階段の途中でぷち倒れるののとの二択ではないかと思ったりした。休み休み何とかたどり着いたその家は、どうしてそうなったのかわからないのだが、ショッキングピンクに塗られていた。辛く苦しい思いをして、たどり着いたその先に、ショッキングピンクの建物を見た時、人は様々な思いを心の中にうかべるのであろお。あちきは早く帰りたいと思った。一番近いコンビニまで、坂を転げ落ちて数秒と徒歩3分。住めない、とはっきり断言する心の小人さん。そう、それは正しい。

○その後、坂の上の上に住むのなら、あちきは体力に自信が無いので別居というやつをすべく、結婚後も実家に住むと言い放ち、可愛い積み木のような4軒のお家を契約する運びとなった。たくさん歩いたが、もう二度と、あの坂の上に行く事は無いだろおと思う今日この頃なのだ、だ、だ。

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