かすみ荘 - 父とわたくし:父と健康
[もどりゅ]

ACT017:父と健康(2001.03.07)


◇健康。とても大切なものである。かすみが時々行っている病院(聖マリアンナ:東横病院)では、病院にこれる程度の病人老人が、病院に来ていないお友達を心配されている。彼らにとって病院に来れないという事は、家を出れないほど調子が悪いという事になるらしい。本末転倒である。

◇父もそんな所がある男だ。彼はどうやら健康の為には、死をもいとわない様である。良く「〇〇が出来ないくらいなら死んだ方がましだ」とか、「〇〇の為なら染んでも良い」などという言い回しをする人もいる様だが、父の場合、死ぬまでの間健康でいられるのであれば早死にしても良い、らしい。いわゆる目的の為には手段を選ばないでいたら、手段の為に目的を忘れてしまっている様なそんな感じであろう。

◇そんな父の夢は、死ぬ寸前まで健康で、旅行とかも行けて、うまいものも食べれて、ある日突然ぽっくり行く事、らしい。この願いを叶えるとすると、かすみは殺人犯になってしまう様だ。だいたいそんな上手い方法がある訳が無い。だとすると夜に気持ちよく寝ている時に、頚動脈を塞ぐ様に死んでいただくしか方法が無いのです。いくら父が好きだからといって、殺人者になる訳にはいきません。もしも、父といる時に生命の危機に晒されたとすれば(二人で外出中のデパートで大火事、はしご車が持つのが後一人、とかいう時)、かすみは父を押しのけてでも自分が助かろうとするくらい、常日頃から自分が一番大切な人間です。たかだか父の死に様の為に、刑務所に行くなんてまっぴらです。日本の警察をなめてはいけません。あっという間にかすみは捕まってしまって、ワイドショーで叩かれたあげく、刑務所行です。親孝行をして懲役では、全く割が合いません。

◇さて、死に様は置いておいて、父が健康に気遣う上で外せないアイテムがあります。それは黒酢です。お酢が体に良いのは、数々の実証がなされている訳ですが、かすみの父は色々なものにお酢をかけます。揚げ物、煮物、焼き魚、サラダ、何やら間違っている様な気がしますが、それでもかけます。余りのかけっぷりに、母もちょっとばかり呆れたのか、

「そんなにお酢を入れたいんなら、毎日必ず食べているお味噌汁にでも入れればいいのに」

◇言ってはいけない一言でした。父は意地っ張りなのです。反抗期の少年の様な心を持っているのです。やってやらぁっとばかりに、通常七味唐辛子を入れて飲んでいるお味噌汁に、さらにお酢を入れたのでした。そして、恐ろしい事に、現在も日々、お酢入り味噌汁を飲み続けているのです。

◇とりあえず、今の所、努めて健康です。

教訓:男子たるもの、決して引いてはいけない。(らしい)


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