かすみ荘 - 父とわたくし:父とかわいいのだ
[もどりゅ]

ACT034:父とかわいいのだ(2001.07.06)


◇人間、歳を取ると早寝早起きになるという。我が父は、昔から早寝早起きの人であった。起床後に布団を上げ、軽く髪を整え、庭を一周して朝食。寝室(といっても畳の部屋。両親のテリトリー)に戻り、きっちりと髪を整える。のち、寝坊する子供がいないか確認する。

◇かすみはその日、とても眠かった。会社をさぼっちゃおうかと思うくらい眠かった。夜更かしも何もしていないのに眠い。6時に起きてから5分刻みで、タオルケットをかけたり、のけたりを繰り返していた。サボる理由を何にしようか、などと不遜な事を考えているかすみ。きゅるきゅると回転しながらタオルケットに潜り込んでいる時に父が部屋の前を通りすがった。

◇かすみは部屋のドアを開けて寝ている事が多い。閉塞感を感じるのが嫌なので、冬でも開けている事の方が多い。ので、起床時間にも関わらず、タオルケットと戯れる娘を父が発見したのは当然の事であった。

「会社、休むのか?遅れるぞ。具合でも悪いのか?」

◇かなりかすみも眠かったらしい。通常では父親に言わないような台詞を吐いた。

「眠いのだ」

◇わかり易い。実にわかり易い台詞である。しかし、それを聞いた父の台詞も並みではなかった。

「かわいいのだ」

◇瞬間、かすみはばね仕掛けの様に飛び起きた。

「眠いのだ〜、可愛いのだ〜。うちの子供達もお母さんも、みんなみんな可愛いのだ〜。ゆきも、剛太も可愛いのだ〜。お父さんは幸せなのだ〜」

◇ああ、父よ、親ばか一直線でございますな。私は願う。父が家族の写真やら、わんこの写真やらを持って職場で見せまくり「うちの家族は可愛いのだ〜」などという日が来ない事を。おばあちゃん!頼むよっ!

◇あたしゃそんな子産んだ覚えはないよっ!とかゆう、おばあちゃんの声が空耳で聞こえたりした。

教訓:のだ、のだ〜。


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