かすみ荘 - 父とわたくし:父と掃除機
[もどりゅ]

ACT035:父と掃除機(2001.07.10)


◇休みの日に惰眠をむさぼっていると、遠くからかすかにかすみを呼ぶ声がした。夢の中で呼ばれているのか、それとも違うのか、よく分からないので睡眠続行。

「かすみってば、おい、寝てるのか?」

◇しぶしぶ起きると、開きっぱなしで寝ていた自室のドアの向こうに父がいた。もそもそと起き上がると、「下で待ってるから」といって行ってしまった。このまま寝てしまいたいと思ったのだけれど、待っている人を見捨てるのは人としてどうかと思うし、ましてや父である。何かをしでかしたに違いないし、いつも負けず嫌いの父が声をかけに来たという事はそれなりの事件が勃発したのであろう。

◇着替えるのも面倒だったので、パジャマのまま階下に降りると、我が家のわんわん警備隊が駆け回っている。その駆け回っている中央には警備隊員達の嫌いな掃除機が置いてあった。

「お父さんの大切な万年筆が中に入ってしまったんだ」

◇入ってしまったは良いけれど、何でこの掃除機は本体に直接吸い込み口に一番近いジョイントパーツが接続され、そこに蛇腹パーツ、吸い込み口が接続されているのだ?順番が間違っている事に気が付かなかったのか?しかも、吸い込み口の切り替えが畳になってるし。父よ、ここはフローリングだ。

「すごいだろ、お父さんが組み立てたんだ」

「すごいねー」

◇ちっともすごいと思っていないが、一応誉めておこう。これが仲良し家庭の秘訣なのだ。100歩譲って、掃除機のありかも良く知らなかった父が、掃除機を出して組立、吸い取るという行為をしたのだからすごいでも良いかも知れない。

◇いんちき合体掃除機をばらし、ゴミパックを取り出しながら父に質問、

「お父さん、どうして掃除機を使ったの?」

「七味を飛ばしてしまったんだ」

◇父曰く、母が出かけてしまったので台所のお味噌汁の残りを飲もうとしたらば、七味唐辛子の入れ物が空になっていたので、パッケージから移そうと思った。その際、景気良くパッケージを開けたら、景気良く唐辛子が空中に吹っ飛んだ、との事。可哀想にわんわん警備隊も唐辛子をちょいと吸い込んでしまったらしい。先ほどから吠えたりくしゃみしたり鼻を擦ったりしているのはそういう訳か。

◇その後、万年筆は救助され、父は掃除機を元に戻すといいながらもうまいこと収納出来ず、結局後始末をさせられた。にも関わらず、外出から戻って来た母に対して、「俺、掃除機使える様になったんだ」などとほざきやがっていた。まあ、いいか、と思った矢先に、

「かすみ、さっきのごみ(パックを外した時にこぼれた物)がまだ落ちてるぞ、ちゃんと拾え」

◇お前のせいじゃ、ぼけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。っつーかお前が拾えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。

教訓:先んずれば人を制す。やらない方が出来ないよりましな時もある。


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