かすみ荘 - 父とわたくし:父と蚊取り線香
[もどりゅ]

ACT039:父と蚊取り線香(2001.08.27)


◇かすみが雑文でも大騒ぎしておりますように、夏の我が家は蚊がぶんぶん飛び交っているのです。これと言うのも、庭に水道があったり、怪しげな甕があったり、毎日水を撒いたり、父の計画無き庭の緑化計画のせいだとは思うのです。

◇今は無くなりましたが、かすみが子供の頃は庭に柚子の木があって、アゲハチョウやらモンシロチョウやらがばんばんやって来たものです。当然やつらは卵を産みにきているので、その木の下にあるブランコは毛虫と芋虫に占拠されてしまいました。いまだに植わっている桜にも毛虫はばんばん発生します。父は殺虫剤で駆除をしていましたが、そうするとブランコ周辺に死骸がごろごろ転がることになり、もしもそれを踏んでしまったら!と考えてしまって庭に出れなくなる子供かすみ。今思い出しても恐ろしい光景なのです。

◇そんな訳で最近は庭に出ないかすみなのですが、父は蚊取り線香持参で出て行くのです。煙がばんばん出る、昔ながらの蚊取り線香です。かすみが気になるのは、あの煙の効果はどれくらいの範囲なのか?という事なのです。確かに、蚊取り線香君はわれとわが身を削って煙をばんばん噴出しています。しかしながらその煙の量は決して多くありません。かすみの中では?昔読んだ民話集のかぐや姫?の不老不死の薬を燃やしているシーンの挿絵程度の煙←ひとすじでかなり微量。と同じ程度なのです。それに比べて蚊を寄せ付けたくない領域はとても多い様な気がするのです。この煙が体を中心に渦巻きに取り巻いてくれるというのなら効果がありそうな・・・。

◇その蚊取り線香入れる入れ物は、腰に下げられるものを使っているのだけれど、すでに5代目になっているのです。丸い缶の中に蚊取り線香を入れて腰にぶら下げていると、ぶつけてゆがんだり、落ちて駄目になったりするらしい、挙句、

「触ったら火傷した」そうな。

◇火の熱さは火傷をしないとわからないという言葉もあるけれど、それは子供に対して言う言葉なので、父には当てはまらない筈なのだけれども、心は少年の父はばっちこ触ってしまったらしい。その為、5代目蚊取り線香入れは、小型で熱伝導率が低い、コンパクト蚊取り線香入れというものらしい。かすみの目には外観の色が変わって小さくなっただけの様にしか見えないのだが。

◇入れ物が小さくなったので、通常の大きさの蚊取り線香は入れる事が出来ない。しかし、小さなものは割高になってしまう。父はぽきぽきと丁度良い大きさに蚊取り線香を折りながら、その方法を思いついた事にご満悦のご様子。その後、あまった蚊取り線香をじっと眺め、

「かすみ、いいものやろうか?」

「蚊取り線香のあまりなら要らないよ」

「いや、もし蚊の大群に襲われたら、あの時に貰っておけば良かったと思うから貰え」

「要らないって。使えば?」

◇かすみは密着させて並べて使えば、と言ったつもりだったのだが、その後、煙をもうもうと上げながら、くしゃみが止まらない愛犬を従えた父が、庭を徘徊しているのをベランダから発見する事になる。その後、父の喉が痛くなり、原因が私であると責められたのは書くまでも無いかも知れない。

教訓:提案をする時は、相手にはっきり自分のビジョンが伝わる様にすべきである。


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