かすみ荘 - 父とわたくし:インド印
[もどりゅ]

ACT041:父とストレッチ体操(2001.09.03)


◇父はもともと腰を痛めていた。若かりし時より腰が弱かったのだそうな。父は肉体労働というものには全く縁が無く、過酷な労働により腰を痛めた、とかいうことではない。もちろん、事故にあった事も無く、単に弱い、製造不良人間だった様である。ま、人間どこかしらに欠点を持っているものであるから、別段問題では無い。精神的には。

◇問題が無いのは精神的な事であって、肉体的には問題がある。つまり、腰が痛いからといって気に病むことは無い。しかし、実際に痛いのだから困る。ちょっとばかり似非哲学的な話であるが、まあ、その様な事である。

◇父はかすみが物心ついた時には、すでに医療用のコルセットを使用していた。そのくせ子供が大好きで、ヒコーキ遊びと銘打って弟をぶん回していたりしていた。地雷をふみまくりである。大学生時代よりスキーが好きで、寒いスキー場で無理やり長時間滑り、夜は温泉で療養といった事を繰り返したりもしていた。

◇さて、父は健康マニアである。正確には健康的な生活を送る方法を知るマニアなのです。健康になると言われる方法を知るのが大好きなのです。そしてその方法を試しては止め、試しては止めながら日々をすごしております。お酢を使ったり、座禅を組んだり、そんな事を前にも書きましたが、今回も楽しそうにやってました、ストレッチ体操を。

◇かすみも仕事柄、ストレッチを行っておりますが、かすみの場合は腕を引っ張ったり、肩の力を抜いたり入れたり、などといった肩こり防止を狙ったものであるが、父の場合腰痛防止を狙っているので、おのずと方法は異なってくる。しかし、しかしである、このポーズは如何なものであろうか。

◇先ず、ひじとひざをついた状態の四つん這いになる。その状態で右手と左足を持ち上げ、伸ばす。体を支えるのは左手と右足。かすみの説明では漠然としているが、何となくおかしなポーズである事に間違いはない。の〜んと伸びている。昔、あちきがバレエをやっていた頃、この様に伸びていた事がある。当時は、あちきがやろうが、人がやっているのを見ようが可笑しくなかった。が、父のこれは可笑しい。うみゅ、これはあれか、あちきのやっていた時はぴちぴちの若い娘さんがレオタードでやっていたので別段可笑しくも無く、父はシャツにステテコでやっているから可笑しいのかも知れぬ。恐るべし、状況の違い。

◇とりあえず体に良いと父が主張するので、一緒にやる事にする。伸び、伸び、・・・痛いじゃないか。それともあちきの体に異変が?ふと顔を上げると、微妙な表情をした母が部屋を覗いていた。

◇あちきと父は同じ、しかも日常生活ではまず取らないであろう異様なポーズをお揃いでやっており、その会場が我が家で一番上等な仏間で、かつ日本間である。く〜とか唸っちゃっているのである。どう見たって基地外ちょい手前ではないか。あちきは常々皆でやれば怖くないという考え方に偏見を持っている。皆でやればなお変なのではないだろうか。集団パフォーマンスなのではないのだろうか。メンバーが増えれば増えるほど、受けるインパクトはあがる。地元横浜でも、横浜駅に変な、じゃない、ちょっとエキセントリックなパフォーマンスのチームが日々蠢いているが、人数が多いほうが異様に見える。つまり、今、あちきは親子ユニットを組んで、変な動きをしているのだ。ユニット名募集、嘘。

◇恥ずかしかったのであちきはそれで終了。が、後に残った父が騒ぎつつストレッチを続けていた。とはいえ、その後父はストレッチ健康法を止めたらしく、唸りながらストレッチをする父の姿は現在観測されていない。


前へ父とわたくしのTOPへ次へ