かすみ荘 - 父とわたくし:食べすぎ
[もどりゅ]

ACT049:父と牡蠣(2001.11.27)


◇冬、真っ盛り。らしいです。父に言わせると。夏の岩牡蠣から始まって、我が家は月に2、3回牡蠣を食べております。んで、今は冬真っ盛りなので、牡蠣を食べねばならないそうです。

◇父にとって牡蠣と言うものは激美味なるものであり、かすみにとって牡蠣と言うものは激不味なるものであったのです。ちょっと前まで。子供の頃は牡蠣フライと言われるたびに、目の前に暗雲が立ちこめ、いったいいくつの牡蠣を盛られてしまうのかと不安になったものでございます。熱処理を加えて食べる牡蠣、パックされた牡蠣、どうやらそれは口に合わなかったのでしょう。

◇が、ちょっと前に、知り合いのお店で生牡蠣を食べさせていただいた折、ああ、生牡蠣というものは、こんなに美味しいものであったのね、と目から鱗が落ちました。んでは、かすみが子供の頃、もたもたとした食感の、あの牡蠣は何であったのか。そこの所に疑問が残りますが、やはり鮮度に問題があったのでしょう、きっと。

◇んで、牡蠣である。ちょっとばかり残業して家に帰ると、父と母が食事を終えていて、「かすみちゃんは牡蠣食べないのよね〜」なぞとほざいている。最近ちゃんと食べているのに、それは認められていないらしい。「食べられるけど」と主張すると、大騒ぎである。

◇何やら、生食用の牡蠣をいただいたのだが、調子に乗ったパパ上が一人で20個近く食べてしまったらしい。好きなのは知っていたが、一度に20個弱食べるとは、恐るべし父。それともあれか、父の前世はヒトデか?半分にちぎると2匹に増えちゃうのだよ、ヒトデは。するってぇと、父を半分にもぎると、父が二人・・・、止めよう。人間には無理だ。想像しても怖くなるだけだし。

◇残りの牡蠣は12個。食べていないのはかすみとううちゃん。ううちゃんは今日は夕食要らないといっていたが、生牡蠣大好き人間。するとううちゃんもヒトデか?ヒトデ親子なのか?止まれ、自分。自分までヒトデの子供になってしまうぞ。とりあえず、母がううちゃんにメールを送る。その隣で3個の生牡蠣を食べたのち、4個の牡蠣をホイルに乗せ、焼き牡蠣を作ろうとし始めるかすみ。

「かすみ、何やってるんだ」

「焼こうかな、と思って」

『勿体無い』

「生でも食べられるものを焼くから美味しいのですよ」

◇有無を言わさず火にかけるかすみ。バターをちょびっと入れて、強火で焼き倒す。「ううちゃんからメール来たよ。とっておいて、だって」うみゅ、そうか。ちゃんと均等に5個づつになる様に、やさしいお姉ちゃんは活動中だ。

◇ぴちぴちと音を立てる牡蠣に、ちょろっと醤油をたらして一焼きすれば、焼き牡蠣の完成です。

「お父さん、お母さん、1個づつ食べて。やっぱり焼いたのも美味しいと思う」

「いいよ、勿体無いし。折角かすみが焼いたんだから」

「いいからいいから」

「じゃ」

と、言うが早いか、父の口の中に牡蠣は消え去った。

「うまー。お前も食ってみろよ」と、母に勧める。おい。おにょれ、さっきは勿体無いとかかすみに食べろと言っていたのに。ま、二人が2個食べればううちゃんとかすみは5個づつで公平、と思っていたから問題はないのだけれど。

◇その日、おおいに牡蠣を食べた父の満足に、水をさすものがいた。そりは、メッシュである。芸能人のメッシュ、名司会者といわれているメッシュ、飲んだくれのメッシュ、友達公園の支配人メッシュ、その日はどっちの料理ショ〜の放映日で、メッシュ班は牡蠣ご飯だったりしたのだ。

「サロマ湖の牡蠣は食べた事、無いなぁ」

◇メッシュの誘惑に、サロマ湖に夢を馳せる父。その胃の中には20個弱の生牡蠣。突如、がさがさと、父の大切資料入れを漁り始める。資料入れといっても、パソコンの資料が入っているとか、仕事の資料が入っているという訳ではない。気になる旅行のパンフレットと、気になる食品取り寄せ便のパンフレットが入っているという代物である。早速サロマの牡蠣を発見。しつこく母に見せだし、薀蓄を垂れ始め、ああだのこうだのと見解を述べ始めた。そして、

「よーし、来月食べるか」

◇両親で来月に北海道に行くと聞かされてはいたのだが、確か函館に行くと、函館の夜景を見ると聞いていたのだが、サロマは方向が違うぞ、父よ。

「送ればいいんだな、送れば。かすみ、必ず家にいて受け取る様に。うわぁ、楽しみだなぁ、牡蠣、牡蠣、牡蠣。な、楽しみだよな、な、な」

◇父よ、犬にまで同意を求めるのはおやめください。犬は牡蠣は食べないと思います。

教訓:牡蠣は一回くらいはあたっといた方が食べ過ぎないと思う。


前へ父とわたくしのTOPへ次へ