かすみ荘 - 父とわたくし:結局役立たず
[もどりゅ]

ACT050:父と餅つき(2002.05.31)


◇正月といえば餅つきらしい。餅つきといえば正月らしい。世間一般では。が、我が家では時節に拘らず餅をつく。かすみが生まれてすぐに、餅大好きの祖母が「つきたて餅を食べたいけれど、この辺では売っている店が無いねぇ」と呟いたのが事の発端で、自分の両親も大好き人間を自認している父としては、ここで親孝行せねばどこでする、とばかりに当時の最新式電動餅つき機を購入した。

◇これにより、我が家では思い立った時に餅つき大会を開催出来る様になった。近所の仲良し家族を呼んで、餅パーティーも何回も催してみたりもしている。おばあちゃんも大満足、素晴らしき電動餅つき機、ぶらぼー電動餅つき機。使い方は至って簡単。先ずはもち米を洗って、機械にぶち込む。のち、蒸しボタンを入れてスイッチオン。び〜っと鳴ったら一度取り出して、良く混ぜる。のち、つくボタンを入れてスイッチオン。び〜っと鳴ったら出来上がり。簡単である。人間がやるのはもち米を研ぐのと、蒸した後に混ぜるだけ。

◇餅好き人間の父は、最後のび〜っ、が鳴ると俄然はりきりだす。出来たて、熱々の餅を菜箸とおしゃもじを使って、水を張った器に入れるのだ。当然の事ながらちょっとでも手がそれると非常に熱い。しかもこの作業は餅つき機の壁面に餅がつかぬ様、餅つき機が稼動している状態、つまり餅がそれなりの速度で回転している所に手を入れて餅を出さねばならない。父にしてみれば、俺、大活躍シーンのこのチャンスを逃せる訳が無い。俺、大活躍、俺、凄い、俺、頼れる父。

◇そんなこんなで我が家の電動餅つき機は延々働いてくれ、20年以上働いてくれたのだ。が、物には耐用年数というものがある。その物が平均でどれくらいの期間、がんばってくれるであろう時間だ。この電動餅つき機(いい加減長い名称だな)は10年となっている。つまり、人間でいうと、寿命の2倍以上、頑張ってくれちゃっているのだ。考えてみれば、いくら我が家の人間が持ち大好き家系であっても、年に餅をつくのは5、6回。その度ごとに2回、機械を稼動させる。電動餅つき機が20年でつきたおした回数はたかだか200〜240回。炊飯器などは毎日朝晩動けば365x2x20であるって、耐用年数20年の炊飯器など無いですな。うみゅみゅ。それに200回以上はたかだかでは無いかも〜。

◇そんなこんなで、先日ついに新しい電動餅つき機を購入しました。今度のは何やらボタンが多くて、液晶パネルまでついている。何を表示するつもりか、液晶パネル。つきあがりの時間か?そりとも餅のつかれ具合か(柔らかい〜堅い)。前のなぞダイヤルで切り替えだったぞ。昔懐かしいレコードプレーヤーのやうに(33回転・45回転)。

◇早速、試しつき。試しに餅つき大会。そんなに楽しいか、餅を食べるのが。

◇で、今度の電動餅つき機のつきあがりお知らせ音は、チャイムみたいな感じで、ソフトにお知らせをしてくれる。早速、おしゃもじを掴む父。が、母が声をかけた。

「お父さん、今度の餅つき機はお餅が張り付かない加工をしてあるから、お父さんの手を借りなくても大丈夫よ」

◇父、がっくり。

「じゃ、何かやること、あるかな?」

「後は、お餅を取り分けれる係だけだけど、いつも私とかすみちゃんがやってるでしょ。相当熱いわよ」

◇と、言われているのにチャレンジする父。

「っちゃぁ!」

◇死亡遊戯のやうな声を上げて飛び退く父。でしょうな。普段取り分ける時は冷水を用意して、餅が固まらない程度に手を冷やしつつやってるのだ。

「っちぃい!」

◇しつこい。一回で止めておけばいいものを、何をやっているのであろうか。父よ、手を冷やすという方法を考え付かないのか。仕方が無いので、冷水を入れたボールを持って近づく。

「これを使って」

「餅にかければいいのか」

◇父よ、つきたての餅に冷水をかぶせたら、表面が固まってしまいます。

◇終に餅を取り分ける係を諦めた父は、ちゃんとチャイムが鳴るにもかかわらず、電動餅つき機監視人として、餅つき中の機械の傍らに付き添っている。全自動の機械についていても何の役にも立たないのだが、どうせ何もしないで待っているのだから、同じかも知れない。

教訓:電動餅つき機は機種によっては父の出番を無くしてしまう。凄い父を演出する場合、餅がくっつき易いタイプを買うべきである。


前へ父とわたくしのTOPへ次へ