かすみ荘 - 父とわたくし:来年、か?
[もどりゅ]

ACT056:父とタイと入院(2002.02.16)


◇タイに行く!父の宣言はいつも突然だ。タイに行けば遺跡も見られるし、美味しいものも食べられる。アジアに生まれたからには、アジアを満喫しなければならない。母と一緒にタイランド。わくわくフルムーン旅行タイランド。

◇1月に中国に行ったばかりだというのに、3月にはタイに行こうと言うのである。旅行、旅行、旅行ばっかりだ。夕飯はメザシでも、旅行は行く。旅行に行くとお金がかかるよねぇ、と言っても「俺は旅慣れているからお土産を買わないもん。だから基本料金だけで楽しいもん」と言っている。どうでもいいが父よ、いい歳して語尾にもんを付けるのは何事か。

◇ところが、そんな父に災難は降りかかった。降りかかるといっても、元々その可能性はあったのだ。すなわち、去年痛めた膝の為に入院。3月に入院する事にあいなった。勿論、がっちょり手術もする。がっちょり手術をするので、その後、ばっちりリハビリもする。頑張れ、父よ。

◇という訳で、手術のある3月にタイへ行く訳にもいかず、父は目に見えて落ち込んでしまった。鬱々。あちこちのアジアツアーのパンフレットを集めてため息をつく毎日。行かないのにパフレットを増やして行った気分になるのだそうな。とても不毛な様な気もするが、全くお金を使わないので、とてもお得なのではないだろうか。

◇さらに父の災難は続く。我が妹父の愛娘、ううちゃんが今回のタイ旅行に自腹で着いて行く気になっていたのだ。ううちゃんはわざわざ貯金まで降ろして準備万端だったのである。パスポートのコピーなんかもとっちゃったんである。休みまで取る申請を途中までやってたんである。
 「ううちゃんタイ、行きたーい」
 「お父さんだって行きたいよ」
ううちゃんはちょっと考えた。そんでもってこんな事をいったんである。

「お父さん置いてさぁ、女性軍だけで行こうよー、タイ。kasumiちゃんとママとううちゃんで」

◇父の顔が真っ赤になった。一気に血が頭に流れ込んだらしい。怒っているのではない。父は興奮しているのだ、のだ、のだ。

「そんで、入院している間に行けば、パパ寂しくないし、病院だから安心でしょ」

◇そして、父は悲しくなっちゃったんである。パパは一人じゃ駄目なのだ。うさぎは寂しいと死んじゃうのだ。父も寂しいと弱ってしまうのだ。入院している間に行くとなれば、愛しの妻も、愛娘2人もお見舞いに来ないし、第一自分が行きたいタイに、先にいかれてしまい、事によっては愛する妻から、
 「私はもうタイには行ったから今度は他の所がいいわ」
などといわれてしまうかも知れないのだ。危うし、父。

◇そして父の表情が晴れやかになった。どうやら打開策が浮かんだらしい。どうでも良いが、百面相は体に良くなさそうだぞ、父よ。

「よしっ!お父さんが退院したら4人でタイに行こう!お父さんが旅費を全部出す!」
「えーっ!パパ、優しい〜」

◇清水の舞台から飛び降りる、というのはこういう事をいうのであろうか。しかしながら、父は家族に置いていかれるくらいなら、躊躇無くランドマークタワーからでも飛び降りそうな人なのだ。家族愛、それは父を盲目にさせるものなのである。

◇そんな訳で、ううちゃん彼女の職場で「4月に休む〜」と申請したらしい。が、父がパンフレットを見て、タイの気候からすると4月以降は暑かったり、雨季だったりする可能性がある為、9月以降が好ましいという判断を下した。しかも、来年になってからの方が良いかも、という考えもあるそうだ。父が旅費を出す訳だから、ううちゃんも不満そうだが仕方が無い。

「んじゃぁさぁ、パパが入院している間にUSJ行こうよぉ〜」

◇父、まだまだ不幸から脱却していない。

教訓:末娘のパワーは父親にとってかなり凄いらしい。


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