かすみ荘 - 父とわたくし:自分の時もこうだった、多分。
[もどりゅ]

ACT062:父とお宮参り(2002.04.27)


◇お宮参り、なのだ。一部では「お宮参りって初七日にやるんだよね」とか「違うよ、四十九日にやるんだよ」とか言われているお宮参り、なのだ。気にはしないけれど、よそさんの赤ちゃんを殺すのはどうかと思うが。

◇お宮参り、というのは神道の国である日ノ本の国、日本の素晴らしい行事である、と誰かが言っていたが、様は生まれてちょいとたった赤ちゃんの健やかな健康を祈って、神社におまいりに行く、とまあそんな行事らしい。確かに、生まれた、生まれた、おめでとう〜という事をお寺さんに祈ると言うのは微妙に違う気がする。無病息災、家内安全、などというものはお寺さんというイメージをkasumiが持っているせいなのかも知れないけれど、神社=八百万の神を祭るという所から、仏様ではなくて神様にお参りした方が正しい様な気がするのだ。気のせいかもしれないけれど。

◇ともあれ、遠出するのも大変なので、家の近くの天満宮に行ってまいりました。天満宮というのは菅原道真公を祭っている神社ですから、子供の健康を祈るのにはちょいとひっかかるものがあったり。菅原道真公と言えば島流しにあって「東風吹かば、匂いおこせよ梅の花。主無しとて春な忘れそ」とか(間違っていたら笑うしかないけれど)歌った人で、元々は文人の方で、本来ならば学業上達、試験合格というお願い事をする神様なのだけれど大丈夫なのか。kasumiも赤ちゃんの時、この天満宮にお宮参りに連れた来られた様だけれど、こんな駄文を書く大人になってしまいました。大丈夫なのか、本当に。

◇さて、朝に弱い弟夫婦はお昼直前に我が家に到着。エコロカーぷらっつ様の後部座席には燦然と鎮座ましますチャイルドシート。そこに轟然とお座りになる我が姪、るなちゃん(仮名)。弟達が家に着いたとき、kasumiは母親の用を済ませる為外に出ていた。ので、その時の父の話は母から聞いたものである。父は、弟から家を出たと言う電話を受けた後、30分(片道1時間弱)後には庭に出て、うろうろと庭を徘徊し、弟の到着、可愛い義理の娘の到着、愛して止まない孫の到着を今か今かと待ち受けていたそうな。父よ、貴方は冬眠前の熊か、分娩室の前で出産を待ちわびる夫なのですか?そして、車が到着した瞬間、凄い勢いで車に走り寄り、窓ガラスにぺたし、と張り付いたらしい。父よ、貴方はアイドルの追っかけの人ですか?それ以前に息子の運転する車に轢き殺されても良いのですか?

◇kasumiが帰宅すると、へろへろと笑顔を浮かべた父が、るなちゃんの脇にぴたーっと付いて離れない。しかも、ほっぺたは突くわ、手を握るわ、足を自分の口に入れてみるわ、お腹は撫でるわ、顔は撫でるわ、それはもう大騒ぎである。さらに抱っこしては降ろし、抱っこしては降ろし、を繰り返している。何やら奇妙な宗教の信者の様である。
 「おう、kasumi帰って来たのか」
 「ん〜」
 「どうだ、触りたいだろ、でも触らせてやらん」
父よ、それは貴方の子供ではありません。

◇ともあれお洒落さんな洋服に身を包んだ父、母、弟、義理の妹、姪、と写真班でふつーの格好をしたkasumiはお宮参りをつつがなく終わらせた。その際、父は終始にこにこしており、抱いたが最後、延々放さず、母が抱える時もしぶしぶと言った感じで手放し、挙句、
 「るなちゃんは結婚しないでおじいちゃんと住もうね〜」
などと言い出す始末。

◇弟夫婦が帰る段になると、
 「るなちゃんはおじいちゃんと一緒にいたいよな、いたいよな」
と言い続け、
 「るな、置いて行こうか?」
と弟が言い出し、それに対してkasumiが、
 「いや、お父さんを引き取ってくれたまえ」
と言った所、微笑みながら弟のぷらっつ号に乗り込んだ。
 「返品するな」
 「やだよ、お姉ちゃんが赤ちゃんを産めばいいじゃないか」
 「うみゅ、未婚の母になるのは嫌だ」
 「結婚すればいいじゃないか」
 「そりは面倒だ」
と、しばし弟と歓談し、そのまま別れ、車は発進した。

◇無論、父は乗ったままである。

◇しかしながら、そのまま連れて行ってくれればいいものの、10メートルも走らない内に車は停車し、父が降りて来た。弟夫婦に父を預けて悠々母娘生活の野望は潰えたか。

◇「着替え、持って乗れば良かったかな」
去り行く車の後姿を見つつ、父が呟いた。乗りたかったのか?とすれば今からでも間に合うのだけれど。
 「でもなぁ、お母さんのいない生活は耐えられないしな」
母がそれを聞いてげっそりとした表情をしたのは、kasumiの心の中にしまっておこうと思う。

教訓:孫は責任を気にせずただただ甘やかして良いらしい。


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