かすみ荘 - 父とわたくし:そいえば弟夫婦も何もしていない。
[もどりゅ]

ACT066:父と誕生日プレゼント(2002.06.11)


◇誕生日を迎えたのである。父が。

◇今年も無事に父はお誕生日を迎える事が出来たのだけれど、今年は父フェスティバルは行われなかった。誕生日、といえば、朝からこっそりと主役が驚きそうな場所にプレゼントを設置し、お互いのあげたプレゼントを評価しあい、誰かが高級ケーキを購入して来て、夕食が大概手巻き寿司になるので、それを食べて一休みした後、ケーキを買った人物が「ケーキ食べようよ。どれが良い?」と発言し、皆でケーキを食べるというのが定番である。え?違うのですか?成人した家族ばかりの家ではプレゼントを渡したりしないですか?激しいフェスティバルを行っているのは我が家だけですか?

◇今年に入って父は、私に鞄、母に二年連続オペラグラス(ペアと主張)をプレゼントしているのだけれど、今度はあげる側ではなくて貰う側だから、わくわくして当然だったらしい。そっかな、当然かな。うみゅう。ので、当日、目が覚めて部屋のドアのノブに何もかかっていなかったのを見て、結構凹んだという。何故、ドアのノブかというと、紙袋を掛け易いからだ。我が家の場合、クリスマスに靴下を吊るす時も此処に吊るす。ぶらぶら。

◇でも父は次なドッキリに期待した。階下に下りればプレゼントが待っているかも知れない。が、一階の何処にもプレゼントは無かったのである。さらに凹む父。

◇この時点で、父の誕生日プレゼントを用意している家族は一人もいなかったのだ。数ヶ月前からプレゼントプロジェクトを立てる父の為に、逆にプレゼントを用意していた家族がいない。こりはいけない。唯一の救いは父がそれに気づいていなかった事だったりする。そんな訳で、父は朝から言葉でしか祝福されず、寂しく出勤していったのであった。そのせいであろうか。家を出た時にはそんな予定が無かったにも関わらず、同期の方の電話の誘いに惹かれて、ほこほこと飲みに行ってしまったのだ。

◇そんな事は知らないkasumiは、父の為にバイブルサイズの皮のバインダー式手帳を購入。ちゃんとお洒落なブランド物であり、これさえあれば、テレビのちょっと気になる店のメモも、今まで見たいに新聞の端っこに書かなくて済むのです。kasumiと一緒にテレビを見ている時に、「書いておいて」と頼んでおきながら、「見難い」と文句をいう事も減るに違いないのです。旅行に行った時の記念入場券などを、全て母に押し付けずとも、自分で取っておけるポケットも付いています。ショップのお姉さんに綺麗に包んでもらって、折角なので、自分でも可愛い袋に入れましたとも。花の大好きな父の為に、グラスブーケを購入し、これをテーブルに置いて、豪華手巻き寿司の夕食なのです。きっとううちゃん(妹)がケーキを買って来てくれるに違いない。

◇が、急いで帰宅したkasumiを迎えてくれたのは、豚汁を啜りつつ、キムチを齧り、飯を食らう母だったのでした。わざとらしくくたくたと崩れ伏すkasumi。
 「お母さん、お父さん、何時頃帰って来るの?」
 「さあね」
 「お母さん、お父さんにプレゼントあげた?」
 「ううん。今度大阪行くでしょ。その時に何か買ってきてあげるの」
母よ、そりはお土産と言う別物ではありませぬか?

◇しかも、その後に帰宅した妹もケーキもプレゼントも用意していないと言う。
 「これはあれですか?ドッキリですか?本当は二人ともプレゼントを用意していて、kasumiちゃんを騙そうというのですか?」
 「無いよ。本当に」
本当にこの母娘はお土産とプレゼントを一緒にしちゃうぞ作戦を敢行するつもりだ。いつもちゃんと買って来るのに。酷い、酷すぎる。まとめて一緒くたなんて・・・。いや、そんな事より、妙齢の女性が自分の事をkasumiちゃんと名前?ちゃん?呼ぶのはどうか、という意見もあるやも知れないがここは棚に上げて置く。えいっ。

◇仕方が無いので、自分の分だけでもと思い、プレゼントを食卓の父の席に置き、その前にお花を飾る。何か死んだ人みたいだよ、おとっつあん。そして、仕事を辞めたいと思っている父の為に、一枚だけ購入した宝くじをプレゼントに添える。素晴らしいぞ、自分、喜べ、父。

◇わざわざ父の帰りを待っているのもあれなので、自室であれこれやっていると、父が帰宅した。飲んで帰ってきた父は、とりあえず普通で、かつての様に、
 「鶴拳、くえ〜」
などという奇声を発したりはしていない。それにしても、これを読んでいらっしゃる方々の内かなりの人数の方が、我が父が酔うと必ず鶴拳を始めるという誤解をなさっている様なのだけれど、後にも先にも鶴拳を披露したのは一度きりなので、誤解無き様お願い致しまする。

◇さて、プレゼントを発見した父の喜びようは並大抵では無かった。「うわぁ」と一声あげたらしい。その後、kasumiの部屋にやって来て、扉を開けたり閉めたり(どうやら娘に気を使っていたらしい)しながら、「kasumi中身は見てないけど、ありがとう。後でじっくり開けるよ」と何回も言い、何故か?さらば青春?を歌いながら自室で着替え始めたのだった。さらに、「kasumi、一緒にkasumiが買ったプレゼントを開けようよ」と作務衣チェンジをした父は、ぼすぼすとkasumiの部屋の扉を叩き始めたのだ。何故、一緒に見なければならないのですか父よ。

◇翌日、母がkasumiを怨んでいると言い出した。
 「お父さんね、こんなに良い物貰った、貰ったって、大騒ぎしてたのよ。なのに他の人は何もくれないって。もしも宝くじが当たっても、kasumiちゃんにしか10万円あげないって」
 父よ、いくら当たっても分け前は10万円なのですか。
余りにうるさいので仕方なく、車まで出して、母と妹は百貨店に行き、素敵なネクタイを買って父にプレゼントしたのだが、時既に遅く父は拗ねてしまって、数日間kasumiのプレゼントを延々誉め続けたのだった。こっちも哀しいので止めて下さい。そして、その数日間、意味も無くkasumiの部屋の扉を「ひゃっほう」などと言いながら開け閉めしたのは新手の嫌がらせでしょうか、お父様。

教訓:誕生日は当日祝ってあげるべきだ。


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