かすみ荘 - 父とわたくし:どうしたら撲滅出来るのやら
[もどりゅ]

ACT071:父と黒い稲妻(2002.08.05)


◇先日、我が家にぷにぷに雑文書きの人がやって来た。我が父の作成している、にゅるにゅるヨーグルトを食べる為である。勿論、その為に雑文書きの人がお腹を壊しても、当方では一切関知するつもりは無く、いわゆる体のいい生贄みたいなものであったともいえる。もきききき、後ろに凶器が見え隠れするお付き合い。

◇そんな犠牲者が、何故か美味しい美味しいといいながらヨーグルトを食している正面、ダイニングのテーブルでぼけーっとkasumiが脳みそを緩めていると、ふと、視界に黒いものがびよよよよーんと黒い何か軌跡を描いた。よぎった、という訳ではない。軌跡を残した、のである。へろへろっと視界右上方から、中央やや上方に弧を描いて下がり、左上方に消えたのである。みゅみゅ?ええと、生物?なまもの?もしかして、虫?うっきょぉぉぉぉぉぉぉぉ。

◇虫である。虫なのである。しかも空中浮遊をしていたから、羽なぞを登載した虫であろう。うう、さぶいぼがたってしまった。変な羽の動かし方で、浮力を得ている虫めぇー、虫めぇー。みゅ、一瞬見えた大きさから察するに、大方蛾であろう。放っておくと、小汚い燐粉を撒き散らし、それが人体に付着すれば、みるみるそこから腐っていく(虫嫌い妄想)のだ。やはり、目の前にいる雑文書きの人に退治してもらうか、リビングでくつろいでいる両親に退治してもらおう。そすれば、kasumiちゃん安全なり。

◇リビングの天井付近にいるであろう虫を確認しに行くと、其処にいたのは蛾ではなく、?G?(嫌いなので伏字)であった。大和Gである。黒光りしてやがって、体長は5センチ以上。黒光りして、台所を駆け巡る、コックローチでいちころだぜ、黒いG〜。むう、kasumiの弟君が昔歌っていた、某ホエールズ選手の応援歌の替え歌を思い出してしまったわ。ともあれ、kasumiにとって虫というものは天敵に他ならない。恐くて蚊も退治出来ない位である。勿論、ただ刺されるのも嫌なので、虫除けスプレーをばんばんかけたり、庭に出て蚊取り線香を25巻き程一気に炊いたりしている。そんな具合であるから、天井にとまっていやがる不法侵入者Gを恐る恐る指さし、「お母さん」と声を発した。此処で気をつけねばならないのは、虫と言うものは何故か恐がってる人の方に寄ってくるという似非ジンクスというものである。もしかするとkasumiの指めがけて飛んでくる恐れもあるのだ。じりじりと後退するkasumi。それを鼻でふふんと笑い、「たかがG、噛み付いてくる訳でもないし、早く始末しろ」貴方の度胸には感服しますが、人に始末を命令する貴方は何様なのですか?父上様?

◇何もしない父と比べ、母は俊敏に動き回る。殺虫スプレーを手に、果敢にGに挑む母。ぷしゅ、あやまたずGを直撃する薬剤。逃げるkasumi。離れた所から何故か微笑を浮かべ見学している雑文書きの人。Gは苦しみながら、しゃこしゃこと天井を移動する。そして、その先には、父がいた。天井から壁に移動するG、その真下には、父がいるのだ。悠然と構えた父が。母が退けと言っても、退かない父。何故だ、たかがG如きで、一家の家長がどかねばならないのだ。

◇ぽてし。

◇天井から壁、カーテンに逃れたGが父の頭に落下した。「!!!」kasumiはすでに声にもならないほどの精神的衝撃を受けたのだけれど、父はけろりとしている。父の頭の上にはGが!動くGが!しかしながら、父は払い落としもせずに、「早く捕まえろ」などと言っている。どうやって捕まえろというのだ?父の頭ごとスリッパでひっぱたけとでもいうのか?Gはそのまま悠々と父の肩、腕を伝い、ぽて、と床に落下した。母がGを捕獲、退治したあと、kasumiは遠くから父にこう問うた。「お父さん、頭と体、洗った方が、良いよ」しかしながら、父の答えは「いや、大丈夫だろ」・・・。全く理解出来ませんが、その大丈夫の根拠は何処にあるのですか?Gですよ、G、排水管の中をも移動するGですよ。腐った残飯はもとより、ありとあらゆるものを食べやがるGですよ。もしかすると、濃縮ウランですら食べるやも、いや、それは無いだろうけれど。「いやでも、汚いし、私、嫌だし」「お父さんは構わない」構えや、父よ。

◇このままでは、G接触父に家内を動き回られ、父に付着したGエネルギーを振りまかれてしまうではないか。ええと、どうすれば、どうすれば、どうすれば・・・。あ、そだ。kasumiは急ぎ父への最終兵器、ううちゃんの部屋に向かった。
 「ううちゃん、もういないけれど、お父さんの頭にGが止まった。お父さん、頭洗わないって言ってる」
 「はぁ?」
ううちゃんはその後、見事父を確保、シャワーを浴びる事を快諾させていた。その際、
 「浴びないと二度とそばに行ってあげない。口もきかない」といったそうな。ううみゅ、恐るべし、可愛い末娘。しかも、本心だったらしいし。

◇こうして、我が家の平和は守られたのであるが、考えてみれば、平気ならばGを退治してくれれば良かったのである。にも拘らず、己のこうべがGに蹂躙されているのに、悠々と座っているのは如何なものか。これは豪胆ではない。ただの、横着者か、鈍い人である。合掌。

教訓:一家の長たるもの、虫如き意に介してはいけない。例えそれが自らの頭上にあっても。


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