かすみ荘 - 父とわたくし:結局上手く行かなくて別れたとか
[もどりゅ]

ACT073:父と予言(2002.10.13)


◇我が家の母は農家のお嬢様出身であったりする。いわゆる庄屋とか豪農とか、そういう家の出身であるからして、父と結婚する事を決めた時も、実家及び、親族に反対されたそうな。

◇母は、父の事を最初嫌なやつと思っていたという。変な悪戯をしてきたり(成人してまでも好きな人相手に悪戯を仕掛ける若き父)、運動なんて出来なくても平気などと言ったり(母はスポーツマンが好きで兄は駅伝選手だった)、興味ないと言ってもあれこれ誘ってくる鬱陶しいやつ、そういう判断を下していた。

◇ところが、父としてはお気に入りの相手である。何としてもお付き合いしたい相手である。あわよくば結婚したい、いや、あわよくなくとも運命の相手で、母以外の結婚相手は考えらられないからである。やはり、押して押して押しまくれ、と考えた父である。ので、母が普通というか、ちょっと鬱陶しいボーイフレンドをして付き合っていたにも拘らず、プロポーズをしたという。
 「僕と結婚してください」
 はふぅ。母はため息をついたという。何回もそういうので、冗談かと思っていたという台詞である。すごし。
 「私はね、ちゃんとお付き合いしている人がいるんです」
 母は、ボーイフレンドと彼氏は違うと思っていたらしい。プレイガールか、母よ。

◇しかしながら次の父の台詞は並みではなかった。
 「でも、それは上手くいきません」
 「はぁ?」
 上手く行かないのである。ただの職場の同僚であった父は、堂々と母の恋の行く末をいきなり上手く行かないと斬って捨てたのである。
 「あのですね、私は好きな人がいるんです」
 「そうですね。でも、僕、待ってます」
 「はぁ?」
 待っているのである。
 「いつまでも待っています」
 いつまでも待っているのである。

◇当時の母の困惑は如何なものであったであろうか。かなりのものと思われるが、やはり当事者でないかすみにはわからない。
 「ええと、待っていられても困ります」
 「大丈夫です、僕、待ちます」
 「だから、結婚を前提にお付き合いしている人がいます」
 「そうですか、でも別れます」

◇母が父と友達としても付き合うのを止めなかったこと事態、かすみには理解できないが、考えてみれば、二人が結婚していなければ、かすみの存在も無かったのである。不思議な話だ。

◇父に話を少し聞いてみたところ、
 「いやだってお父さん、お母さん以外と結婚したくなかったし、お母さんと結婚できると思ってたし」
 「根拠はあったの?」
 父はにやりと笑った。
 「運命だと思っていたからな」
 かすみが声も出せないでいると、
 「でもまあ、今やったら犯罪になるかもな」

◇父よ、一体どこまで母を追いまわしたのですか?教えて欲しいような、教えて欲しくないような・・・。

教訓:運命は思い込めば覆せない。


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