かすみ荘 - 父とわたくし:家の近くでの出来事らしいです
[もどりゅ]

ACT077:父とアナーキー(2003.03.06)


◇つまりは穴。

◇先日、横浜の高島屋に買い物に行ったのだ。高島屋と言えば、薔薇のマークの高島屋で、財閥で、金持ちのまっだ〜むが外商なんぞを呼びつけたり、セールもあんましやらなくて、暴力値段と言うか、定価でおらおら販売をすると言うか、まあ、kasumiの勝手な妄想で店の品格が著しく決め付けられている哀しい店である。そのくせ、kasumiが高島屋の中にある4℃の高級喫茶店で、当たり前のように一人ごっは〜んを食べたりもするのだから、一と言うのは言動が一致しないと言うか、あ、kasumiだけですか、そうですか。

◇で、高島屋に何を買いに行ったかと言うと、靴を買いに行ったのである。靴。英語で言うとシューズ、綴りは書けない。我が家のママンがぢうまんえんもくれたので、それで靴を買いに行ったのだ。ぢうまんえん!大金である。kasumiの子供の頃など、1円あれば、活動が見られて、カツ丼が食べられて、資生堂パーラーでアイスクリンが食べられたものだ。・・・。嘘です。というか、いつの時代だ、それは。ともかく、現在でもぢうまんえんは大金です、大金。一ヶ月働いても手にする人はまれです。・・・。えと、これも嘘です。

◇何でママンがぢうまんえんもくれたかと言うと、可愛い我が子のためではなく、現在婚約中の、某ぷにぷに雑文書きの人にスーツか何かを買って差し上げろという指令なのである。可愛い我が子には何もくれないのに、他人に何かを買ってやれとは、ママンの精神構造がおかしいようであるが、話によるとkasumiが婚約指輪というものを買っていただいたので、母として感謝の気持ちを表しているのだそうな。む、kasumiが母になっても我が子の婚約者に何か出してやろうとは思わないと思うが。あ、手なら出すぞ、何かくらさい。

◇斯様な理由から高島屋に出向いた訳だが、雑文書きの人は「スーツより靴が欲しい」といいたれ、5年以上履いて、しかもそれ一足しか持っていない、ぼろぼろ通勤靴を履いた足を殊更に強調したりしてきた。どれくらいぼろぼろかと言うと、表面がぽろぽろと剥げ落ち、長年の風雨に朽ちかけ、さらに、いつの間にか穿たれた換気口が存在すると言う代物である。換気口は夏の湿気には有効であろうが、雨の日にはそこから敵の侵入を許してしまうと言う哀しい弱点があった。

◇そんな訳で、雑文書きの人のぼろぼろ通勤靴の話を両親にしたところ、母は柳眉を潜めたのだが、父は違った。まるで当たり前のような顔をしてこういいたれたのである。 「まだまだだな」 ・・・。まだまだって、なんでつか、父よ。 「僕なんか、底ごと外れて、しかもそのまま帰って来た事があるよ」

◇父曰く、通勤靴がかなりよれよれしていたのは知っていたのだが、新しいのを買うのを渋っていた若かりし頃、たくさんあいた換気口をものともせず、職場に通っていたら、ある日の帰宅時に、ついに上と下がなき別れになってしまったのである。ぱかすっと。父の足は通常の人間の足の体裁を整えていたので、足の甲の上には靴の上の部分が律儀にちょこなんと載っていた。そして、道路の上には靴底の部分、足が載る部分を含めた下の部分がちんまりと残ってしまったのだ。

◇父も人並みの感覚の持ち主であるからして、いきなり足が軽くなった事も、靴下のすぐ下に感じるアスファルトの感触も、いち早く察知して、己の置かれた立場に気がついた。片足の靴がばらばらになってしまい、微妙に足の長さに差が出来てしまった事もである。しかし、ここからが父の本領発揮である。普通の人だったら、あわてて靴底を拾うであろう。ところが父はそれをしなかった。何故なら、靴底が外れると言うアクシデントに対して、体をかがめるなどと言う父の中で格好悪いと分類される事を潔しとしなかったのである。

◇父はそのまま堂々と歩きつづけ、帰宅すると、底の無い靴を当たり前のように脱ぎ、靴下を脱ぎ、脱衣籠に入れて、母にこういったという。
 「靴が壊れた」と。

◇つまりはあれですか、これを勝利というのでしょうか?かつて、素手で台所の黒い悪魔Gを掴めるという某雑文書きの人を、Gが頭上に落下したのちからだの上を這いまわれながらもテレビを見ていたという荒業で退けた父は、ここでも勝利したのでしょうか。方やただの穴。方や底なし靴。

◇えと、色々突っ込みたいのですが、あまりにも堂々と自慢気にいうので何もいえません。はう〜。

教訓:威風堂々、そうしていれば欠点は見えづらい。


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