かすみ荘 - 父とわたくし:もしかするとわかっているのかも、ね
[もどりゅ]

ACT078:父と婚約指輪(2003.12.15)


◇むか〜しあったずもな。といっても、30年ほど前の話である。父は母にぷろぽぉずをして、それが受け入れられ、幸せの絶頂にあった。母の為に自分で育てた花をプレゼントしたり、手品を見せたり、ウイット(自称)にとんだ冗談を言ったり、デートに誘ったり、仕事帰りの時間をあわせたりといった苦労が報われたのだから幸せでない筈が無い。・・・・・・。父よ、ちょっとストーカー入ってませんか?

◇そんな父は自分の叔父さんを尋ね、父の出せる範囲でのお金で買える、最高のアメジストの指輪を購入したのだ。母の誕生日は2月、2月の誕生石はアメジストである。日本名で言うと紫水晶。水晶であるからして、輝石の中では安価であるが、色が濃ければ濃いほど高くなる。叔父さんは(kasumiの祖母の弟さん)腕のいい彫金師さんで、まさに職人と言った人であり、可愛い甥の為に殆ど原価で指輪を作ったらしい。叔父さんにかかればどんな貴金属も原価換算され(デザイン料という概念が殆ど無い)、外で買ったものを見てもらうとがっくりくるのが日常茶飯であったから、父の選択は正しかったのではないか。叔父さんのセンスは悪くなかったし(祖母がよく作ってもらっていて、指輪やブローチの細工や透かし彫りは見事です)、何と言っても金額ぎりぎりの石をぎりぎりのプラチナに合わせて、美しい花と蔦の透かし彫りを施した指輪は、子供のkasumiが見てもそれは見事であったから。

◇その指輪、ただ渡すのではつまらないと思った父は、頭を一生懸命ひねった。現在、60過ぎても心は少年。人を驚かしたり喜ばせるのが好きなエンターテイナー父であるからして、どんな演出をしようかと一生懸命考えた。そしてその作戦は実行に移され、母が大喜びしたのだから、父も報われたと言うもである。この演出、父に言わせると最高なので、気に入った方がいたらぜひお使い下さい。既婚者の方でもおけです。奥様へのプレゼントにぜひどうぞ。

◇先ず小さな紫のドライフラワーを適量用意します。彩りで黄色もちょこっと用意します。それの頭をもぎます。花の部分だけを使います。京都のお菓子、二人静の空き箱を用意します。二人静の空き箱は、和紙で出来た直径10センチほどの円形の箱で、表に平安時代なみやび〜なお姫様の絵が描かれています。そこに紫の花を詰めます。どんどん詰めます。いい感じに詰まったら真中に指輪を埋め込みます。指輪の表面が見える程度まで花を詰め込みます。最後に黄色の花を散らせば出来上がりです。

◇母はこの箱を大事に取ってあり人に見せるときは細心の注意を払って、小指の爪の先ほどのドライフラワーが1個でも無くならないようにそ〜っと扱っているのでする。実に微笑ましい話ではありませんか、ここまでは。

◇その後、母は家の中でその指輪を2回迷子にしてしまっている。1度目は他の指輪の箱に入れてしまい、大騒ぎをしたがあっさり発見された。が、2回目は10年程前に、紛失が発覚し、以来発見されていない。父は1度なくした事は知っているが、現在2回目であり、かつ、紛失中と言う事は知らないのである。しかも、母はその秘密を隠すべく旅行で行った韓国のシェラトンホテルやら、ロッテホテルやらで同じようなアメジストの指輪を物色したり、デパートの宝飾品売り場で探したりしており、今年に入って殆ど同じ(と主張している)指輪を発見、見つかるまでそれをそうだと言い張るつもりでいるらしい。

◇ともかく、指輪が大切なのではなくて、父から母への真心が大切なわけだから、現状にどうこう言う権利はkasumiには無い。ただ「kasumiはお母さんと同じ誕生月だから、結婚する時はお父さんがあげた指輪を持っていくといいよ。お母さんにはまたお父さんが買ってあげるから」と笑顔で言う父をみると心がちょこっと痛みます。父よ、貴方以外、母とkasumiと妹は、貴方の買った指輪が行方不明になっている事を知っているのです。む〜む〜。どんどはれ〜。

教訓:気がつかない事、それも平和な結婚に必要な一つのポイントである。


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