かすみ荘 - 父とパソコン:質問は脱衣所から
[もどりゅ]

ACT012:質問は脱衣所から(2001.06.04)


・日本人たるもの風呂に憩いを見出さねばならない。とりあえず江戸っ子ではないので、湯の温度を熱湯風呂並みに上げ、「くー、けつに湯が噛み付くぜ」とまではしなくて良いものの、「やっぱりお風呂はいいのう」などとほざき、リラックスするのが正当な風呂の入りかたではないだろうか。あ、でもユニットバスとか幼少のみぎり溺れかけ、以来襟を正して入るとか、何かしらの理由がある人はそうでなくてもかまわない。第一お風呂なんて好きな入り方をすれば良いのだ。

・しゃこしゃこと髪を洗っていると、

ばりばりばり

・曇りガラスを引っ掻くやつがいる。この曇りガラスの向こうは風の街ではなく脱衣所になっている。

「お父さんだけど、ちょっとごめーん」

・別に名乗らなくともわかるぞ。第一、曇りガラスに透ける影が作務衣の色なので色だけでもわかるのだ。

「あのさあ、この間の文章パソコンで修正したの。あれ、どうしたら保存出来るんだ」

・父よ、何回保存の仕方を教えたと思っているのか。しかも、付きっきりでだ。

「左上にあるファイルを右クリックして、上書き保存で大丈夫」

「わかった」

・安心してシャンプーを落し、リンスを塗ったくっていると、

「お父さんだ、フロッピー以外にもデータがあるんだけど、どっちも保存されているのか」

「はぁ?あ、ああ、マイドキュメントの中ね。どちらのデータを最初に開いたの?」

「そんなもんわからん」

・それじゃあ私もわからん。

「え、じゃあ、どちらを正式なデータにしたいの?」

「フロッピーかな」

「じゃあ、ファイルの名前を付けて保存で、枠の中の三角をクリックして、ドライブAのフロッピーにすれば大丈夫」

「わかった」

・リンスも落として風呂につかる。くー、極楽極楽。

ばりばりばり。

「お父さんだ。名前を付けて保存したぞ。終わって良いのか?」

・・・・・・・・・・・・・。(終わりくらい安心して終わらせろ、といいたいが父にそんな事は言えない)

「良いよ。大丈夫」

「そっか、ありがとう。まあ、ゆっくり風呂に入ってろ」

・折角買って来た?壮年から始めるパソコン?の本が全く役に立っていません。ちゃんと見出しも付けてあげたのに。私が子供の頃、聞く前に調べろと言っていた貴方。いったいどうしてしまったのですか。(泣)


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